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建設工事の下請負人へ発注、全てに適正は10.8%

 国土交通省及び中小企業庁では、建設業法の規定に基づき、建設工事における下請取引の適正化を図るため、下請取引等実態調査を毎年実施しているが、このほど、建設業法改正(令和2年10月1日施行)後初の下請取引等の実態について「令和3年度下請取引等実態調査」結果を公表した。同調査の結果、指導対象調査項目について、不適正な取引に該当する回答を行った建設業者1万1084業者に対し、指導票を発送している。

 同調査結果(有効回答数1万4338業者)によると、建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(1万2427業者)が回答すべき調査項目について、指導対象となる 29の調査項目に対し、全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)だった適正回答業者率は10.8%にとどまった。未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況という。

 今年度の調査で新規の設問項目である「労務費の内訳を明示した見積書」では、下請負人から元請負人に対し、労務費の内訳を明示した見積書を交付している割合は67.3%だった。「工期」については94.7%の建設業者が、追加工事等が生じた場合、工期変更を認めていると回答し、また「約束手形」の手形期間を60日(予定・検討中も含む)としている建設業者は73.8%との回答だった。

 技能労働者への賃金支払状況では、賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は82.8%で、昨年度から3.5ポイント増加。理由としては、「技能労働者の技能と経験に応じて給与を引き上げ(建設キャリアアップシステムの活用など)、技能労働者の処遇を改善する必要があると考えたため」が39.4%と最多。一方、引き上げない理由としては、「経営の先行きが不透明で引上げに踏み切れない」が41.5%で最多となった。

 国交省は、同調査の結果により、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者に対しては指導票を送付し、是正措置を講じるよう指導を行った。さらに、同調査結果に基づき、必要に応じて、許可行政庁において立入検査等を実施する。また、講習会の場を設ける等し、建設業法令遵守の周知徹底を今後とも図っていくとしている。

令和3年度下請取引等実態調査の結果概要について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国土交通省及び中小企業庁では、建設業法の規定に基づき、建設工事における下請取引の適正化を図るため、下請取引等実態調査を毎年実施しているが、このほど、建設業法改正(令和2年10月1日施行)後初の下請取引等の実態について「令和3年度下請取引等実態調査」結果を公表した。同調査の結果、指導対象調査項目について、不適正な取引に該当する回答を行った建設業者1万1084業者に対し、指導票を発送している。 同調査結果(有効回答数1万4338業者)によると、建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(1万2427業者)が回答すべき調査項目について、指導対象となる 29の調査項目に対し、全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)だった適正回答業者率は10.8%にとどまった。未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況という。 今年度の調査で新規の設問項目である「労務費の内訳を明示した見積書」では、下請負人から元請負人に対し、労務費の内訳を明示した見積書を交付している割合は67.3%だった。「工期」については94.7%の建設業者が、追加工事等が生じた場合、工期変更を認めていると回答し、また「約束手形」の手形期間を60日(予定・検討中も含む)としている建設業者は73.8%との回答だった。 技能労働者への賃金支払状況では、賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は82.8%で、昨年度から3.5ポイント増加。理由としては、「技能労働者の技能と経験に応じて給与を引き上げ(建設キャリアアップシステムの活用など)、技能労働者の処遇を改善する必要があると考えたため」が39.4%と最多。一方、引き上げない理由としては、「経営の先行きが不透明で引上げに踏み切れない」が41.5%で最多となった。 国交省は、同調査の結果により、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者に対しては指導票を送付し、是正措置を講じるよう指導を行った。さらに、同調査結果に基づき、必要に応じて、許可行政庁において立入検査等を実施する。また、講習会の場を設ける等し、建設業法令遵守の周知徹底を今後とも図っていくとしている。
2022.01.18 16:01:14