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中小企業の「後継者不在率」は55.6%

 東京商工リサーチがこのほど発表した「後継者不在率調査率調査」結果によると、中小企業で後継者が決まっていない「後継者不在率」は55.6%と、半数以上の企業に及ぶことが分かった。調査は、同社保有の企業データベース(379万社)のうち、2017年以降の後継者に関する情報が蓄積されているデータから19万521社を無作為に抽出、分析したもの。代表者の年齢別では、60代が40.9%、70代が29.3%、80代が23.8%で、代表者の高齢化が後継者難に拍車をかけている状況も浮かび上がっている。

 2018年の「休廃業・解散」企業数は過去最多の4万6724社を記録。円滑な事業承継は数年の準備期間が必要とされる。高齢の代表者で後継者が決まらない場合、企業の事業継続だけでなく、日本を支える中小企業の存続が危ぶまれる可能性も出てくる。当面、経営者の高齢化や生産年齢人口の減少に歯止めがかからないだけに、持続的な経済成長の維持には事業譲渡やM&Aを含む「事業承継」の促進が一段と求められている。

 産業別では、人手不足の影響が深刻な労働集約型の「サービス業他」、「小売業」などで後継者不在率が高かった。この状況が続くと、新設法人数が減少している「小売業」は衰退し、国内市場の拡大と健全な競争環境の維持に影響を与えかねない。産業別の後継者不在率は、「情報通信業」が74.1%で最も高かった。ソフトウェア開発などIT関連業種が含まれるため、業歴が浅い企業が多く、代表者の年齢も比較的若いことが影響しているとみられる。

 人手不足による影響が深刻な業種では、「小売業」が59.3%、「建設業」は54.9%、「運輸業」は52.2%だった。全産業平均は55.6%で、ほぼ全てで後継者難が進んでいるようだ。一方、「製造業」は48.3%と全産業で最も低かった。不在率が50%を切ったのは、「製造業」と「農・林・漁・鉱業」(不在率48.9%)の2産業のみ。国内企業の半数以上で後継者が決まっていない。

 後継者「有り」の企業8万4579社のうち、同族への承継を予定している企業が67.6%と約7割を占めた。経済産業省・各経済産業局が「事業承継引継ぎ支援センター」を開設した他、民間のM&A仲介が活発に展開しているが、親族への承継が大半を占めることが鮮明になった。次いで、従業員へ承継する「内部昇進」が17.7%)、社外の人材に承継する「外部招聘」が14.3%で、いずれも20%を割り込んだ。

2019年「後継者不在率」調査について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 東京商工リサーチがこのほど発表した「後継者不在率調査率調査」結果によると、中小企業で後継者が決まっていない「後継者不在率」は55.6%と、半数以上の企業に及ぶことが分かった。調査は、同社保有の企業データベース(379万社)のうち、2017年以降の後継者に関する情報が蓄積されているデータから19万521社を無作為に抽出、分析したもの。代表者の年齢別では、60代が40.9%、70代が29.3%、80代が23.8%で、代表者の高齢化が後継者難に拍車をかけている状況も浮かび上がっている。 2018年の「休廃業・解散」企業数は過去最多の4万6724社を記録。円滑な事業承継は数年の準備期間が必要とされる。高齢の代表者で後継者が決まらない場合、企業の事業継続だけでなく、日本を支える中小企業の存続が危ぶまれる可能性も出てくる。当面、経営者の高齢化や生産年齢人口の減少に歯止めがかからないだけに、持続的な経済成長の維持には事業譲渡やM&Aを含む「事業承継」の促進が一段と求められている。 産業別では、人手不足の影響が深刻な労働集約型の「サービス業他」、「小売業」などで後継者不在率が高かった。この状況が続くと、新設法人数が減少している「小売業」は衰退し、国内市場の拡大と健全な競争環境の維持に影響を与えかねない。産業別の後継者不在率は、「情報通信業」が74.1%で最も高かった。ソフトウェア開発などIT関連業種が含まれるため、業歴が浅い企業が多く、代表者の年齢も比較的若いことが影響しているとみられる。 人手不足による影響が深刻な業種では、「小売業」が59.3%、「建設業」は54.9%、「運輸業」は52.2%だった。全産業平均は55.6%で、ほぼ全てで後継者難が進んでいるようだ。一方、「製造業」は48.3%と全産業で最も低かった。不在率が50%を切ったのは、「製造業」と「農・林・漁・鉱業」(不在率48.9%)の2産業のみ。国内企業の半数以上で後継者が決まっていない。  後継者「有り」の企業8万4579社のうち、同族への承継を予定している企業が67.6%と約7割を占めた。経済産業省・各経済産業局が「事業承継引継ぎ支援センター」を開設した他、民間のM&A仲介が活発に展開しているが、親族への承継が大半を占めることが鮮明になった。次いで、従業員へ承継する「内部昇進」が17.7%)、社外の人材に承継する「外部招聘」が14.3%で、いずれも20%を割り込んだ。
2019.11.12 15:49:13