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IPO意向のある企業、前年比78社減の198社

 帝国データバンクが、保有する企業情報のなかからIPO(新規株式上場)の意向を持つとみられる企業を対象に実施した調査結果によると、IPOの意向がある企業は、198社判明した。前年調査に比べ、78社減少した。2018年の株価は上値が重い展開となり、IPO件数も前年比横ばいにとどまった。2019年に入っても、株式市場をとりまく環境は芳しくなく、今後は10月に控える消費税増税の影響も懸念される。

 IPOの意向がある企業の業種としては「サービス業」が最も多く、48.0%を占めた。なかでも「情報サービス業」の構成比が高く、全体の19.7%を占めた。画像・音声解析システム、インターネット決済システム、ウェブセキュリティサービス、EC支援システムなど、新たな技術・分野に強みを持つ企業が目立つ。一方、「不動産業」(構成比2.0%)、「建設業」(同1.5%)、「卸売業」(12.6%)などの構成比が低下した。

 特に不動産業は、2018年調査で首都圏を中心にオフィスビル・商業施設や住宅分譲を行う企業など14社がIPOを志向していたが、2019年調査では一転減少し、過去8年間で最も低い構成比2.0%となった。「金融業」の7社中、5社は純粋持ち株会社(TDB産業分類は「投資業」)であった。IPO計画の一環として、グループ再編や指揮系統の一本化を目的に、持ち株会社体制へ移行する企業が目立つ。

 IPOの目的(複数回答)として最多は「知名度や信用度の向上」で、73.7%を占めた。次いで「優秀な人材の確保」の68.2%で、上位2項目の順位は前年と変わらない。「資金調達力の向上」を挙げた企業の構成比は42.9%で3年連続の減少。40%台となるのは2014年以来5年ぶりで、過去10年で最も低い構成比となった。IPOを資金調達手段よりも知名度向上や人材獲得の手段とみなす傾向は、ますます強まっている。

 その他の項目では、「社内管理体制の強化」(24.2%)の増加が目立った。IPO企業の相次ぐ不祥事から上場審査が厳格化され、より高いガバナンス基準が求められるようになったこと、また「働き方改革関連法」が2019年4月1日に施行され、より適正な労務管理が求められるようになることなどが影響しているとみられる。「売上の拡大」(10.1%)の構成比は2年連続で減少し、過去12年で最も低い割合となった。

新規株式上場(IPO)意向調査(2019 年)について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 帝国データバンクが、保有する企業情報のなかからIPO(新規株式上場)の意向を持つとみられる企業を対象に実施した調査結果によると、IPOの意向がある企業は、198社判明した。前年調査に比べ、78社減少した。2018年の株価は上値が重い展開となり、IPO件数も前年比横ばいにとどまった。2019年に入っても、株式市場をとりまく環境は芳しくなく、今後は10月に控える消費税増税の影響も懸念される。 IPOの意向がある企業の業種としては「サービス業」が最も多く、48.0%を占めた。なかでも「情報サービス業」の構成比が高く、全体の19.7%を占めた。画像・音声解析システム、インターネット決済システム、ウェブセキュリティサービス、EC支援システムなど、新たな技術・分野に強みを持つ企業が目立つ。一方、「不動産業」(構成比2.0%)、「建設業」(同1.5%)、「卸売業」(12.6%)などの構成比が低下した。 特に不動産業は、2018年調査で首都圏を中心にオフィスビル・商業施設や住宅分譲を行う企業など14社がIPOを志向していたが、2019年調査では一転減少し、過去8年間で最も低い構成比2.0%となった。「金融業」の7社中、5社は純粋持ち株会社(TDB産業分類は「投資業」)であった。IPO計画の一環として、グループ再編や指揮系統の一本化を目的に、持ち株会社体制へ移行する企業が目立つ。 IPOの目的(複数回答)として最多は「知名度や信用度の向上」で、73.7%を占めた。次いで「優秀な人材の確保」の68.2%で、上位2項目の順位は前年と変わらない。「資金調達力の向上」を挙げた企業の構成比は42.9%で3年連続の減少。40%台となるのは2014年以来5年ぶりで、過去10年で最も低い構成比となった。IPOを資金調達手段よりも知名度向上や人材獲得の手段とみなす傾向は、ますます強まっている。 その他の項目では、「社内管理体制の強化」(24.2%)の増加が目立った。IPO企業の相次ぐ不祥事から上場審査が厳格化され、より高いガバナンス基準が求められるようになったこと、また「働き方改革関連法」が2019年4月1日に施行され、より適正な労務管理が求められるようになることなどが影響しているとみられる。「売上の拡大」(10.1%)の構成比は2年連続で減少し、過去12年で最も低い割合となった。
2019.05.07 16:14:52