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雇用の不足感が急激に強まっている中小企業

 中小企業の雇用の過不足感は、「大幅に不足」(9.3%)、「やや不足」(55.8%)との回答が計65.1%となり、「やや過剰」、「大幅に過剰」との回答は3.9%にとどまったことが、商工中金が発表した「中小企業の人手不足に対する意識調査」結果(有効回答数4746社)で分かった。この結果を、平成23年1月・29年1月の調査結果と比べると、時系列で直近に近づくほど雇用の不足感が急激に強まっている状況が浮き彫りになった。

 人手不足の企業経営への悪影響については、回答企業全体では「深刻な悪影響が出ている」と回答した企業割合は5.2%となり、「一定の悪影響が出ている」と回答した企業割合が52.4%となった。特に雇用の不足感を「大幅に不足」や「やや不足」と答えた企業についてみると、「大幅に不足」ではほぼ全企業、「やや不足」では7割超の企業が悪影響を受けていた。従業員規模別にみると、規模が大きい企業ほど悪影響が強く出ている

 人手不足が企業経営に及ぼしている悪影響の内容(複数回答)は、全体で回答として多かったのは「採用難になっている」(74.2%)、「売上減少・機会の損失」(52.6%)、「技術、ノウハウの継承に支障」(33.4%)などだった。業種別では、「技術・ノウハウの継承に支障」については製造業の回答比率が45.5%と比較的高く、「売上減少・機会の損失」では非製造業の回答割合が57.3%と比較的高くなった。

 仕入先・外注先から、昨今の人手不足を理由として、購入している商品・サービスに関する何らかの要請があるかについては、「要請がある」と答えた企業は全体の22.8%だった。さらに、「要請がある」と答えた企業への要請の内容(複数回答)は、「単価の引上げ」の回答割合が84.0%で特に高くなり、「納期の変更」(19.6%)、「商品仕様・サービス内容の縮小・廃止」(14.0%)が次いで多くなった

 人手不足に対応して行っている対策(複数回答)については、「従業員の能力向上」(46.0%)が最も多く、次いで、「職場環境の改善」(35.1%)、「雇用条件の改善(賃上げ等)」(31.8%)、「高齢者の採用拡大」(29.7%)、「外注(アウトソーシング)の拡大」(27.5%)が多かった。業種別では、「機械設備導入による省力・省人化」は製造業の回答割合(42.1%)が高い一方、非製造業では比較的低かった(13.2%)。

中小企業の人手不足に対する意識調査について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 中小企業の雇用の過不足感は、「大幅に不足」(9.3%)、「やや不足」(55.8%)との回答が計65.1%となり、「やや過剰」、「大幅に過剰」との回答は3.9%にとどまったことが、商工中金が発表した「中小企業の人手不足に対する意識調査」結果(有効回答数4746社)で分かった。この結果を、平成23年1月・29年1月の調査結果と比べると、時系列で直近に近づくほど雇用の不足感が急激に強まっている状況が浮き彫りになった。 人手不足の企業経営への悪影響については、回答企業全体では「深刻な悪影響が出ている」と回答した企業割合は5.2%となり、「一定の悪影響が出ている」と回答した企業割合が52.4%となった。特に雇用の不足感を「大幅に不足」や「やや不足」と答えた企業についてみると、「大幅に不足」ではほぼ全企業、「やや不足」では7割超の企業が悪影響を受けていた。従業員規模別にみると、規模が大きい企業ほど悪影響が強く出ている 人手不足が企業経営に及ぼしている悪影響の内容(複数回答)は、全体で回答として多かったのは「採用難になっている」(74.2%)、「売上減少・機会の損失」(52.6%)、「技術、ノウハウの継承に支障」(33.4%)などだった。業種別では、「技術・ノウハウの継承に支障」については製造業の回答比率が45.5%と比較的高く、「売上減少・機会の損失」では非製造業の回答割合が57.3%と比較的高くなった。 仕入先・外注先から、昨今の人手不足を理由として、購入している商品・サービスに関する何らかの要請があるかについては、「要請がある」と答えた企業は全体の22.8%だった。さらに、「要請がある」と答えた企業への要請の内容(複数回答)は、「単価の引上げ」の回答割合が84.0%で特に高くなり、「納期の変更」(19.6%)、「商品仕様・サービス内容の縮小・廃止」(14.0%)が次いで多くなった 人手不足に対応して行っている対策(複数回答)については、「従業員の能力向上」(46.0%)が最も多く、次いで、「職場環境の改善」(35.1%)、「雇用条件の改善(賃上げ等)」(31.8%)、「高齢者の採用拡大」(29.7%)、「外注(アウトソーシング)の拡大」(27.5%)が多かった。業種別では、「機械設備導入による省力・省人化」は製造業の回答割合(42.1%)が高い一方、非製造業では比較的低かった(13.2%)。
2018.11.06 16:30:34