２９年度の総合労働相談は１０年連続で１００万件超え
厚生労働省がこのほど発表した平成２９年度における個別労働紛争処理制度の施行状況によると、労働基準法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどの民事上の個別労働紛争に係る相談件数は、前年度比１．０％減の約２５．３万件と、３年ぶりに減少したものの、高水準で推移している。個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。
全国３８０ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、平成２９年度１年間で前年度比２．３％減の１１０万４７５８件と１０年連続で１００万件を超え、高止まりしている。このうち、民事上の個別労働紛争に関するものは１．０％減の２５万３００５件。内容別では、「いじめ・嫌がらせ」が２３．６％を占めて６年連続トップ、「自己都合退職」が１２．８％、「解雇」が１０．９％で続く。
前年度と比べると、「いじめ・嫌がらせ」は１．６％増と増えたが、「自己都合退職」が３．６％減、「労働条件の引下げ」が６．８％減のほか、６年前までトップだった「解雇」は９．５％減で減少傾向にある。相談者は、労働者が８２．９％と大半を占め、事業主からの相談は９．８％。労働者の就労形態は、「正社員」３７．６％、「パート・アルバイト」１４．２％、「期間契約社員」１２．２％、「派遣労働者」４．９％となっている。
一方、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、平成２９年度のあっせん申請件数は前年度比２．０％減の５０２１件。処理状況をみると、手続きを終了した４９５２件のうち、「合意が成立」したものが３８．３％、申請者の都合による「申請取下げ」が４．６％、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打ち切り」が５６．９％だった。
平成２９年度内に処理した４９５２件のあっせんのうち、「２ヵ月以内」に処理されたものが８８．３％と約９割を占めている。なお、あっせんの申請者は、労働者が９８．２％と大半を占め、事業主からの申請は１．８％、労使双方からの申請は０．０％（２件）だった。労働者のうち４６．７％は「正社員」だが、「パート・アルバイト」（１７．７％）や「期間契約社員」（２１．６％）も合計でほぼ４割を占める。
提供元：２１Ｃ・ＴＦフォーラム（株式会社タックス・コム）
