重点監督実施した約37%の2848事業場で違法残業
厚生労働省が23日に公表した「過重労働解消キャンペーン」(昨年11月に実施)における重点監督の実施結果によると、重点監督を実施した7635事業場のうち、労働基準関係法令違反があったのは全体の65.9%に当たる5029事業場だった。主な違反内容は、「違法な時間外労働」が37.3%の2848事業場 、「賃金不払残業」が536事業場、「過重労働による健康障害防止措置が未実施」が778事業場などだった。
重点監督実施事業場のうち5504事業場に対して、長時間労働を行った労働者に対し、医師による面接指導等を実施することなどの過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導した。指導事項としては、「時間外・休日労働時間を月80時間以内へ削減」が3075事業場(構成比55.9%)で最も多く、次いで「時間外・休日労働時間を45時間以内へ削減」が2389事業場(同43.4%)で続いた。
重点監督実施事業場のうち1232事業場に対しては、労働時間の管理が不適正であるため、厚生労働省で定める基準(「労働時間適正把握ガイドライン」)に適合するよう指導。また、違法な時間外労働があった2848事業場において、時間外・休日労働が最長の者を確認したところ、1102事業場(構成比38.7%)で1ヵ月100時間を、222事業場(同7.8%)で1ヵ月150時間を、45事業場(同1.6%)で1ヵ月200時間をそれぞれ超えていた。
監督指導事例をみると、飲食店を営むA社は、労働者5名について、36協定で定める上限時間(月45時間)を超えて、月100時間を超える時間外・休日労働(最長:月183時間)が認められたことや、満18歳未満の労働者(年少者)についても、深夜労働を含む時間外労働を行わせていたことから、指導を実施。これらに加えて、年少者を含む労働者に法定の休憩時間が与えていなかったことから、指導を実施している。
なお、監督指導を実施した7635事業場において、労働時間の管理方法を確認したところ、733事業場(構成比9.6%)で「使用者が自ら現認」することにより確認し、2717事業場(同35.6%)で「タイムカードを基礎」に確認し、1421事業場(同18.6%)で「ICカード、IDカードを基礎」に確認し、2817事業場(同36.9%)で「自己申告制」により確認し、始業・終業時刻を確認し記録していた。
平成29年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果 について
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)