相続税調査、増えてます
   
作成日:11/26/2015
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■国税庁発表

 平成24年に発生した相続を中心に、平成26事務年度(平成26年7月から平成27年6月までの間)に実施した相続税の実地税務調査の状況について、国税庁よりその概要の報告がありました。

 実地調査の件数は12,406件、このうち申告漏れ等の非違があった件数は10,151件で、非違割合は81.8%となっています。

 申告漏れ課税価格は3,296億円で、実地調査1件当たりでは2,657万円となっています。

■相続税調査、増えてます

 平成25年1月から「国税通則法」が改正されて、税務調査の手続きが大幅に煩雑となりました。

 これはどちらかというと、納税者や税理士側というよりは、税務署側の手続きが面倒になったという印象です。

 その影響で、税務調査の件数が、相続税に限らず、法人税や所得税も含めて、大幅に減少しました。

しかし、今回の国税庁の発表をみると、相続税の税務調査件数が増えています。

平成22年度 13,668件
平成23年度 13,787件
平成24年度 12,210件
平成25年度 11,909件
平成26年度 12,406件

 今年から基礎控除が下がりましたので、相続税の申告件数が大幅に増える事が予想されます。

 そういった背景も考えると、今後も相続税の税務調査は増加していくものと思われます。

■申告漏れのトップは常に「現預金」

 申告漏れ相続財産の金額の内訳をみてみると、今回もやはり「現金・預貯金等」が多くなっていました。

 単なる申告漏れもあれば、親族に贈与したつもりが、「つもり贈与=名義預金」と認定されて、追徴税額を支払ったというようなケースも多数あったものと思われます。

 税務署にもきちんと贈与を認めてもらうためによく言われるのが、
・贈与契約書を作成する
・贈与税をあえて支払う
・通帳を通す
・贈与者と受贈者の印鑑を区別する
・通帳を受贈者に渡す
などです。

 上記が整備されていればベターではあるのですが、一番大事なのは、贈与者と受贈者の間で、「あげた。もらった。」の認識を共有することです。

 単に、贈与者が「あげた」だけでは、贈与が成立しないことを覚えておいて下さい。