国外扶養控除は<親族関係書類>と<送金関係書類>が必要
   
作成日:10/01/2015
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■外国人の扶養控除を厳格化

 平成27年税制改正によって、給与等の源泉徴収及び年末調整において、非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除(以下「扶養控除等」)の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」を会社に提出又は提示しなければならないこととされました。

 この改正は、年末調整に限らず確定申告でも同様ですが、既に年末調整で上記書類の確認が済んでいるのであれば、確定申告時は不要となります。

 上記改正の適用時期は、平成28年1月以後の給与からとなります。

 ちなみに、「親族関係書類」や「送金関係書類」が外国語で作成されている場合には、その翻訳文が必要となります。

■親族関係書類って何?

 「親族関係書類」とは、次の1又は2のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。



1.

戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し

2.

外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

 上記2の外国政府等が発行した書類とは、例えば、「戸籍謄本」「出生証明書」「婚姻証明書」となっています。

 具体的には、国外居住親族である「妻」を扶養控除の対象とする場合には「婚姻証明書」、「子」の場合は「出生証明書」、「妻の親」の場合は「本人の婚姻証明書(本人と妻の関係)+妻の出生証明書(妻と妻の親の関係)」となります。

■送金関係書類って何?

 「送金関係書類」とは、次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。



1.

金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類

2.

いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類

 具体的には、1については、「外国送金依頼書の控え」となります。

 2については、「クレジットカードの利用明細書」で、「居住者(本人)がクレジットカード発行会社と契約を締結し、国外居住親族が使用するために発行されたクレジットカードで、その利用代金を居住者が支払うこととしているもの(いわゆる家族カード)」をいいます。

 上記の「親族関係書類」と「送金関係書類」は、会社に提出又は提示するタイミングが異なります。

 国外居住親族に係る「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出する者は、その申告書を会社に提出する際に「親族関係書類」を併せて提出又は提示し、通常その1年後である年末調整を行う際に給与等の支払者に「送金関係書類」を提出又は提示することになります。