アジア7or5ケ国巡り~マレーシア(ジョホールバル)編
   
作成日:10/01/2014
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回からの続きです。

■マレーシアの概要

ジョホール海峡を横断してシンガポールのウッドランズとマレーシアのジョホールバルを橋で結ぶ道路のことを、コーズウェイといいますが、そのコーズウェイを使って陸路でシンガポールからマレーシアに入りました。

注)香港にある香港島の北岸に商業の中心地であり世界一の賃料としても有名なコーズウェイベイ(銅鑼湾)がありますが、このコーズウェイと関係があるのかないなか、ご存じの方いたら教えてください。

途中、車に乗ったままの入国審査が有ります。

余談ですが、シンガポールはポイ捨てやタバコに対して大変規制が厳しいのですが、たまたまだと思いますが、マレーシアに入ってすぐのコンビニのような店の前で、タバコのポイ捨てをしている人を発見しました。

幾らなんでもマレーシアに入ってすぐなのであからさま過ぎるなーと思った次第ですが、実は、マレーシアでもタバコのポイ捨てには罰金があるようですので、喫煙者はご注意を。

(マレーシアの概要)・・・イギリス連邦加盟国、元イギリス領
国名:マレーシア
面積:約330,000平方キロメートル(日本の約9割)
人口:約3,000万人(2013年)
首都:クアラルンプール
言語:マレー語
宗教:イスラム教
通貨:リンギット(1リンギット=約30円)
時差:マイナス1時間
1人当たりGDPは約10,000ドル(日本は約38,000ドル)

首都はクアラルンプールですが、マレーシア第2の都市が今回訪れたジョホールバルです。

クアラルンプールは、IT先進国政策によりIT系企業には著名な場所となりましたが、ジョホールバルでも電子機器関係の会社を中心に既に日系企業が150社ほど進出しています。

ジョホールバルは、サッカー日本代表が初めてFIFAワールドカップ本戦出場を決めた地「ジョホールバルの歓喜」としても有名ですね。
最後に決めたのは、スライディング岡野、そのチャンスを作ったのは中田。


■マレーシアはイスラムの国~月と星

マレーシアはイスラムを国教としている、本格的なイスラムの国です。
夜に現地の方が行くようなレストランに行きましたが、やはりビールは無いです。



インドネシアもイスラムの国といえますが、インドネシアはマレーシアと違い、面積が大きく人口も多いため、様々な人種や風俗、宗教が混在しています。

そのため、多様性を認めざるを得ず、イスラム教を国教とはしていません。

イスラム教については、かつてのインドネシア編を参照して頂くとして、「月と星」の話だけしておきます。

イスラム教を国教とするマレーシアの国旗です。

月と星が左上にありますね。

トルコの国旗なんかもそうです。

月といっても三日月が基本らしいですが、意味は、三日月は発展を、星は知識をあらわしているようです。

国旗に三日月と星があればイスラム国家、豆知識として。


■3つの人種とは?

マレーシアはイスラム教を国教とし統一感があるように見えますが、実は国民は「マレー系65%」「中国系26%」「インド系8%」と大きく3つに分かれます。

注)このあたりでの所得差等の格差問題として、ブミプトラ政策がありますが、その話はどこかでまた別の機会にする予定です。

マレーシアで不動産物件や食事などすべてのアテンドなどをして頂いた方が、マレー系で、元パナソニック技術社員10年以上、日本語ペラペラという方でしたので、このあたりの3分類について色々とお聞きしました。

マレーシア人からすると、マレー系か中国系かインド系かは、一発でわかるとのこと。

では、その区分の仕方を教えてよ、と尋ねました。
すると、周囲にいる人をそれぞれこそっとこれは〇〇系という風に教えてくれました。

最初に、不動産物件の販売員の方。
流暢に営業を我々にされて、時折電卓もたくみに持ち出しながら、テンポよく悪くいえばせっかちな感じの方でした。

これは、中国系。

次に、地元の人が入るようなレストランで会話をされていた二人組の男。
見た目が黒い、ちょっと騒がしい(?)感じ。

これは、インド系。

で、その私たちのアテンドをして頂いている日本語ペラペラの方の印象は、落ち着いていて、物静かで、ゆっくりした所作、お金への執着があまりない、といった感じでした。

これは、先ほども書きましたがマレー系。
(もちろん、中国系に比べて勤勉性に劣るなど欠点もありますよ。)

で、その説明を受けて、数秒後に私も、ほぼ100%、3つの分類が出来るようになりました。

タクシーの運転手の印象は、動きが機敏で賢そうでもありなんか関西人に似ている部分もあり、といった感じでした。

これは、中国系。

ビンゴでした。

あとも数名、〇〇系ですよね、とそのアテンドの方に小声で確認したら、すべてビンゴしました。

以前に、『アジア通に聞きました!「どこの国の人が好き?」』というのを書きましたが、そこで私は「マレー人」と書きました。

具体的には、このツアーでお会いした上記アテンドのマレー系マレー人や以前にインドネシアで会ったマレー人を想定して書きました。

なんか、落ち着いている感じや、人をだますようなタイプでない所や、機敏ではないが無駄のない動き等に、魅力を感じました。
話す時も、大声出すようなことはまずなく、低くでもきちんと聞き取れるような感じでしたね。

そういえば、同じような感覚は、インドネシアのバリ女性に対しても思いました。


■マレーシアの王様はちょっと不思議

ここで、少しマレーシアの他国と比べて特殊ともいえる「王様」の話をします。

タイの王様信仰ほどではありませんが、マレーシアでも王様に対する信頼はとても強いです。

私たちが見に行った不動産物件の販売展示場でも、以下のように王様の写真が普通に飾られています。



マレーシアには、13の州があるのですが、国王は13州の内9州にいるスルターン(首長)による互選で選出(実質的には輪番制)されます。

つまり、この国王は世襲ではありません。
選挙で選ばれて、しかも任期が5年ですから、終身制でもないのです。

しかし、国家元首として政治にも大きな影響があります。

これ、日本の天皇制や他の王様を頂いている国と比較すると、ちょっと不思議な感じがしますよね。

これは、もともと別の国であったものが1つになってマレーシアになったという過去の歴史的経緯によります。


■仕事はシンガで住まいはJB(ジョホールバル)

冒頭に書いたように、コーズウェイでシンガポールとマレーシアは、ある意味とてもイージーにつながっています。

渋滞するという要素はありますが、車に乗ったまま移動できるというのは、とても利便性が高いといえます。

しかも、例えば同じショッピングセンターの販売員という仕事をするにしても、シンガポールとマレーシアでは、給料水準が大体2.5倍ほど違います。

給料水準でよく例えられるのが、月給比較のイメージで、
(マレーシア)3,000リンギット・・(シンガポール)3,000シンガポールドル

1リンギット=30円、1シンガポールドル=80円とすると、日本円で、
(マレーシア)90,000円・・(シンガポール)240,000円

つまり、同じ仕事でも、シンガポールで働けば、約2.5倍の給料がもらえるのです。

しかし、シンガポールでは、住居費や食費等はすべてとても高いです。

そこで、シンガポール人の一部では、働くのはシンガポールだけど、住まいはマレーシアという人がいます。

これは同様に、企業でもそういう動きが出てきています。

とにかくシンガポールの不動産コストや人件費などがすべてだいぶ高騰してしまっているので、そこからの逃避先としてのジョホールバルという選択です。

象徴的だったのは、昨年、世界的国際輸送物流会社であるDHLが、シンガポールに拠点があるにもかかわらず、ジョホールバルに新しいハブ施設を開設したことです。


■ジョホールバルのコンドテル宿泊

ジョホールバルでは、既に日本人を中心に居住されているコンドミニアムと、これから建築予定の湾岸沿いの壮大なマンション群のモデルルーム等を視察しました。

その予行練習として、既にコンドテルとして運用されているホテルに、泊まりました。



若干無駄に広いという感じはしましたが、部屋もベットもバルコニーもとても快適でした。

ちなみにマレーシアのコンセントで日本仕様のものを使おうとすると、こんな感じになります。



特に上段の部分の差し込みはついつい忘れがちですので、自分へのメモも含めて、写真をあげておきます。

最初この形式に気づかずに、上記の快適なはずの部屋で30分ほど汗だくになってコンセントと格闘してしまいました。笑


■イスカンダル計画

ジョホールバルの不動産の話をするには、マレーシア政府が総力挙げて推し進めているイスカンダル計画について、知っておかないといけません。

イスカンダル計画とは、2006年から2025年の20年間で、累積投資額10兆円、計画人口300万人、労働人口150万人という、マレーシアのジョホール州一帯(面積2,217平方キロメートル、東京都とほぼ同じ面積)に開発を進めている一大都市開発プロジェクトのことです。

このイスカンダル計画は、シンガポールとジョホールバルを香港と深センの関係に見立てて始まりました。

開発エリアは大きく5つに分けられていて、中でも有名なのは、「レゴランド」や「ハローキティタウン」の開業、教育ではイギリスの名門校「マルボロカレッジ」や「ラッフルズアメリカンスクール」の誘致でしょうか。

将来的なこととしては、2018年に通勤鉄道が開業予定、2020年にはクアラルンプール・ジョホールバル・シンガポールをつなぐ高速鉄道計画があります。
これには、日本の新幹線が採用される可能性があり、実現すれば90分でクアラルンプールからシンガポールへ行けることになりそうです。


■ジョホールバルのコンドミニアム視察

このイスカンダル計画に最も敏感に反応したのが、不動産かもしれません。
そのまさに、旬なのかただのバブルなのかわかりませんが、ジョホールバルの不動産をみてきました。

まずは、これから開発予定の不動産です。
ダンガベイエリア。







単体でコンドミニアムの建設ということではなく、ショッピングモールなどを合わせもったニュータウンの開発というイメージでしょうか。

治安の問題もありますから、このエリアの入り口でセキュリティをかけて、このタウンの中ですべて完結するようなイメージではないかと思います。

余談ですが、このあたりのセキュリティの必要性は、日本がいかに恵まれているのかということを実感しますね。

建設予定の物件ですのでモデルルームの見学となりますが、既に、ビーチや共用施設のプール、プレイグラウンド等が見られるようになっていました。







奧は海で、先はシンガポール。

とにかく、中国人の方が多かったですね。
特設の中国人用の窓口まで用意されていました。

現地のマレー人の方も、ブミプトラ政策で安く買えることもあり来ていました。

次に、既に建設済みであり日本人もご家族などで居住されているコンドミニアムを視察しました。
居住されている日本人のご家族とも少し会話させて頂きました。

こちらは日本人専用ということもあって、温泉があったりBBQ施設があったりと施設が充実していました。


■どうするどうなるイスカンダル?

最初は大風呂敷かと疑われたイスカンダル計画ですが、レゴランドやハローキティタウン、マルボロカレッジなどいくつか既に実行されている点などから、現在では、イスカンダル計画の説明を受けると、多くの方がその可能性に胸をときめかせます。

実際、最近、不動産価格も大きく上昇したようです。

イスカンダル計画それに付随した不動産投資、そうなるかもしれないし、そうならないかもしれないし、行方はわかりませんが、以下のことも忘れないでおきましょう。

マレーシアの人口は国全体でも3,000万人ほど、ジョホールバル州で330万人、さらに言えば日本人は1,000人もいませんし、近年減少傾向です。

これを、香港深センにおける深センと比較すると、中国人口13億人、深セン1,300万人、日本人4,500人以上となりますので、人口ボーナスが続くとはいえ、どうみても今のままのジョホールバルであると、大きく見劣りします。

ジョホールバルでの不動産投資において大事なのは、実需がきちんとその成長に合わせて伸びてくることです。

つまり、このジョホールバルに外国人等が大挙して住むような状況にならないといけないのではないかと考えます。

大きいのは、企業誘致です。

ジョホールバルにおける日本人が減っている大きな原因は、日系企業のベトナム等の他の東南アジアへの移転・集約が背景にあります。

特に製造業の動きが大きく影響しますので、その場合、1社ではなく部品メーカー含めた数十社単位での企業誘致活動をマレーシアがするべきです。
もちろん、その場合の関税含めた輸送コストなど、検討するべき項目は多岐にわたります。

このあたりどの程度までされているのか存じませんが、私の知る限り、タイやベトナム、インドネシアなどに比べて、マレーシアが優れているという感じは現在ではしていません。

また、先ほど、「仕事はシンガで住まいはJB(ジョホールバル)」と書きましたが、実際そうなるかどうかはわかりません。

というのも、シンガポールでは低所得者への持ち家政策の一環としてHDBという公団政策があるのと、国境越えのコーズウェイの大渋滞があります。



また、シンガポール人の多くの方のジョホールバルに対する印象は、「治安の悪さ」だそうです。

とはいえ、なんでもそうですが、新しいものには批判がつきまとうものでもありますので、実行には自己責任ということになりますが。


■マレーシアリンギットは基軸通貨となるのか?

マレーシアの可能性という意味で私が最も注目しているのは、意外に思うかもしれませんが、マレーシアリンギット(MYR)の中期的な可能性です。


日経新聞2014.8.25

イスラム金融、世界で200兆円
東南アが仲介 過去5年で2.5倍に

イスラム教の教義にのっとった「イスラム金融」の市場が急成長している。
過去5年で2.5倍に膨らみ、2014年中に全世界で2兆ドル(208兆円)規模となる見通しになった。

市場整備を進めるマレーシアなどが中東マネーを世界に仲介している。

商品が多様化し、日本を含む非イスラム圏の国や企業が資金調達に利用する例も目立ってきた。
 

マレーシアは2020年までに先進国入りを目指していますが、その中で現在注目されているのが、イスラム金融における基軸通貨としての役割です。

アメリカはイスラムとなかなか相性がよろしくありませんから、ドル以外のイスラム金融における基軸通貨として、マレーシアリンギットが今後ますます選択される可能性はあります。

あくまで、可能性ですが。

現在、ドルの次に流通しているといえば、中国元ですが、中国は、日欧米の過去の歴史の教訓に学べば、どこかでバブル崩壊となるのではないかと個人的に思いますが、その時に、ドル以外のどの通貨が伸びてくるのか?

マレーシアリンギット?

それはちょっと言い過ぎのような気もします。笑

ということで、「マレーシアリンギット(MYR)の中期的な可能性」として、長期的にはちょっとないかなーと思っています。

ちなみに、現在東南アジアのどこの国にいっても(マカオのカジノでも!)、中国人の購買力が旺盛です。
もちろん、不動産においても顕著です。

近々のどこかで中国がもし一時的に崩壊するようなことがあれば、日本人としては、その投げ売りとしての在庫処分や企業のM&A、不動産投資において、大きなチャンスがあると思います。

ここは、狙い目ですよ。


■MM2Hなど

日本人によるマレーシアでの不動産投資の多くは、自分が住む直需ではなく、利ザヤ目当ての投資目的が多いでしょう。

しかし、中には早期、老年期は別として、リタイアメント生活をマレーシアで送りたいとか、若い新婚さんが海外生活をしたいという希望からマレーシアを選択するようなケースもあります。

その時に、不動産投資とセットとなるのが、MM2H(マレーシアマイセカンドホーム)といわれる海外ロングステイ向けのビザの取得です。

観光目的であれば90日以内は日本人はビザ不要ですので、それを超える場合に検討することになります。

おおまかには、一定額以上の定期預金を預託すれば、最短1年から最長10年までの滞在許可を受けることができるようになっています。


■マレーシアの食事

先述のマレーシア滞在中にずっとアテンドして頂いた、マレー系マレーシア人の方と一緒にレストランに食事に行きました。

ちなみに、この方は既婚の40歳前後の男性で子供は4人います。
マレーシアは多産の国で、4人は普通だそうです。

その方のアドバイスもあって、料理はこんな感じとなりました。










インドネシアで食べたナシゴレンやミーゴレンと同じでした。
とてもおいしかったです。

このアテンドして頂いた方は家では手で食べているということでしたので、是非上手に手で食べるやり方を教えてほしいということになり、その場にいた日本人5人全員、後半は手で食べてみました。

慣れないと最初、ご飯はどうしてもバラバラとするのですが、うまく食べるコツは、右手でご飯をすくった後、親指で押し出すようにして、最後口に運ぶのです。
舌が手につくことはありませんので、上手く食べられると、それなりに清潔感もあります。

今回はありませんでしたが、他のマレー系レストランでは、手を洗う水差しのような物がテーブルに置いてあります。

マレー系とインド系が手で食べることが多く、中国系は箸を使うことが多いようです。

今回のように色々な方が混在するような場所では、東南アジアでよくあるスプーンとフォークのパターンです。

これこそ慣れるとなかなか、食べやすいものです。

マレーシアらしいものとして、テータレもいただきました。



甘い紅茶という感じでした。

マレーシアのおやつ関係ですが、イスラム教の関係で豚を連想させるため、チョコレート菓子「ポッキー」ではなく「ロッキー」となっていたそうですが、近年、ポッキーに戻されたようです。

どうりでもあれだけ探しても無かったのですね、、、地球の歩き方・・・。


■覚えておくと旅行が楽しくなるかも・・・マレー語

覚えておくと旅行が楽しくなるかも、というマレー語のご紹介。

おはよう・・・スラマッパギ
こんにちは・・・スラマットンガハリ
こんばんは・・・スラマッマラム
さようなら・・・スラマッティンガル
ありがとう・・・テリマカシ
どういたしまして・・・サマサマ
いくら・・・ブラパ
まけて・・・カシムラ

これを見て、何か思い当たりませんか?
そうです、以前ご紹介したインドネシアのインドネシア語とほぼ同じなのです。

マレー語とインドネシア語はほぼ同じ。
そのため、インドネシアにはマレーシア人が結構いたのですね。
イスラム教も同じですね。
食事も似ていました。

次回は、このシリーズ最終回、タイの予定です。
タイは学生時代に一人旅で行って、パスポートと所持金すべてを無くすという私にとっては悲劇の地でもあります(旅行自体はとても楽しかったのですが)。笑