どこよりも早い税制改正速報!(平成28年度)
   
作成日:12/21/2015
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■儲ける企業には優しく

 毎年の恒例行事ですが、年末になると、来年に向けた「税制改正大綱」が与党等から発表されます。

 今回の大綱案を見てみると、昨年に引き続き「儲ける企業には優しく」という路線が鮮明です。

 その最たるものが、法人実効税率の引き下げです。

 大綱によると、法人実効税率を現在の32.11%から来年度に29.97%、2018年度に29.74%まで引き下げる予定です。

 2013年度の法人実効税率37%からの引き下げ幅は、なんとびっくり7%超となります。

 これは、諸外国で見ると、アメリカやフランスより低く、ドイツとほぼ同じラインとなります。

■儲けない企業には厳しく

 では、儲かっていない企業、赤字企業に対しては、今回の大綱はどのようなスタンスなのでしょうか。

 これはズバリ、昨年に引き続き「赤字企業には厳しい」内容となっています。

 具体的には、利益ではなく事業規模に応じて赤字企業にも負担が発生する「外形標準課税制度(資本割、付加価値割)」が増税されます。

 更には、赤字が出た場合にその赤字を翌年以後に繰り越して、翌年以後の黒字と相殺できる「欠損金の繰越控除制度」が段階的に縮小されます。

 ただし、これらの増税措置に対して、中小企業は対象外となっています。

■宿題も3回忘れると・・・

 税制が国の姿を決める。

 がんばれば報われる社会にする、という姿勢はよく伝わる大綱であったと思います。良いと思います。

 ただし、この路線は既に安倍内閣になって3年連続です。

 かたや、単年の国の収支を図るプライマリーバランスは、ずっと赤字。つまり、大人世代が子供世代に負債を先送りしているということ。

 私はこれを、大人が子供の首を絞めていると表現します。

 世界最先端を突っ走る日本の少子超高齢社会において、税収アップなどの国民が痛みを伴う改革が必要なのは自明の理。

 国会議員という尊い仕事をされている方が、なぜそれをしないのでしょうか?

 更には、その中でも大臣含む役職についておられる方は、「国家100年の計」を建てなければならない役割があるのに、なぜそれをしないのでしょうか?

※今回の内容は国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。(政治が安定していますのでこのまま決まる可能性が高いと思われますが)。