スイッチ0TC薬控除の創設(平成28年度税制改正)
   
作成日:01/05/2016
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■医療費控除の特例措置

 12月16日に、与党より「平成28年度(2016年度)税制改正大綱」が公表されました。

 大綱によると、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、検診、予防接種等を受けている個人を対象として、いわゆるスイッチOTC医薬品の購入費用についてセルフメディケーション推進のための所得控除制度が導入されます。

 この所得控除制度は、医療費控除の控除額計算上の特例措置という位置づけですので、実際には、現行の医療費控除との選択制となります。

 現行の医療費控除は、自己負担額が年間10万円超とならないと原則、適用が受けられないため、一般的にそのバーは高いと言えますが、今回の新制度は下記の通り1万2千円となっています。

 ちなみに、セルフメディケーションとは、自主服薬、自己治療のことで、政府の日本再興戦略でも、医療費抑制の観点から、薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進の重要性が書かれています。

■スイッチ0TC薬控除の創設

 平成28年度(2016年度)税制改正大綱では、具体的に下記のように記載されています。

 適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計をーにする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチ0TC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する。

 なお、住民税においても同様とする。

■一定のスイッチ0TC医薬品とは?

 上記の「一定の取組」とは、次の検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る)とされています。

1.特定健康診査
2.予防接種
3.定期健康診断
4.健康診査
5.がん検診

 また、上記の「一定のスイッチ0TC医薬品」とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く)とされています。

■具体例

 例えば、課税所得400万円の方が、スイッチOTC医薬品控除の対象となる医薬品を年間20,000円購入した場合には、「20,000円-12,000円=8,000円」が課税所得から控除されます。

 結果、所得税節税効果、「控除額8,000円×所得税率20%=1,600円」、住民税節税効果、「控除額8,000円×個人住民税率10%=800円」となり、「合計節税効果=1,600円+800円=2,400円」となります。

 そんなに金額の大きいものではありませんが、ご参考まで。


※今回の内容は国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。(政治が安定していますのでこのまま決まる可能性が高いと思われますが)。