相続税の調査結果、現預金は要注意!-2
   
作成日:12/09/2011
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


前回からの続きです。


■贈与の3要件とは?

民法上の贈与については、民法第549条(贈与)において、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定されています。

つまり、一方的な贈与の意思表示だけでは(例えば親が子どもの承諾なしに一方的に贈与しているケース)民法上の贈与は成立していないということなり、贈与には「諾成契約」であることが必要ということになります。

更にはこれを一歩踏み込んで考えると、もらったほうが受託をして贈与物を受け取っているということは、当然に、受贈者がその贈与物である現預金などに対して、使用収益権を確保していることになります。

ということで、贈与の3要件をまとめると、
1.(贈与者側)「あげました」という意思表示があるか
2.(受贈者側)「もらいました」という受諾認識があるか
3.(受贈者側)財産管理や使用収益権を有しているか

特に、3については、相続対策で親や祖父母から子供や孫への贈与を行う場合には、要注意項目です。

通帳やカード、定期預金証書、印鑑などの管理は、原則受贈者が管理支配していることが必要となります。

また、3の対策としては、学校の入学金をそこから支払うや、結婚資金をそこから支払うなどがあります。

それらの結果として、現預金の残高が贈与を受けた金額そのままではなくて、贈与を受けた金額-自ら費消した金額となっていると贈与の事実の信頼性が高まります。

また、贈与の事実を補足するものとして、「贈与税の申告書」や「贈与契約書」などがあります。


■追徴税額や重加算税

話を冒頭の相続調査の報告に戻します。

課税漏れが発覚すると追徴税額が発生しますが、追徴税額(加算税を含む)は797億円(前事務年度856億円)で、実地調査1件当たりでは583万円(前事務年度618万円)となっています。

また、重加算税の賦課件数は1,897件(前事務年度1,970件)、賦課割合は16.8%(前事務年度16.8%)となっています。


■海外資産関連事案や無申告事案

海外資産関連事案や無申告事案については、前年と比べて大幅に実地調査件数を増やしていて、国税庁における重点課題となっているようです。

報告書では、海外資産関連事案について、
「納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正課税を実現するため、相続税調査の実施に当たっては、海外資産の把握に努めており、特に、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案については、積極的に調査を実施しているほか、調査の過程において海外資産の取得が把握された場合にも、深度ある調査によりその解明に努めています。」
としています。

また、無申告事案については、
「無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものですが、その存在の把握自体に困難な面もあることから、資料情報の更なる収集・活用など把握のための取組みを積極的に行い、的確な課税処理に努めています。」
としています。

相続調査の報告について、より詳しく知りたい方は以下をどうぞご覧ください。

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「平成22事務年度における相続税の調査の状況について」国税庁

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