奥さん、その配当金本当に申告していいの?
   
作成日:02/21/2017
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■配当を申告することによるメリット

上場株式等の配当金に対しては、通常、税金が天引きされています。

そのため、専業主婦の方が確定申告をすることにより、配当の源泉分が還付されることがあります。

これが、配当を確定申告することによるメリットとなりますが、果たして本当に確定申告を選択して良かったのでしょうか?

■配当を申告することによるデメリット

通常の上場株式配当金であれば、源泉控除済みですから、確定申告不要です。
一方で、上記のように確定申告(総合課税又は申告分離課税)を選択することも可能です。

配当を申告することによるデメリットの1つは、夫の「配偶者控除への影響」です。
※夫が働き手で妻が専業主婦を想定

つまり、妻が配当を申告すると、その配当所得が、夫の配偶者控除のバーである38万円に加算されてしまうのです。

少しの税金還付を受けたいがために、うっかり妻が配当金を確定申告することによって、夫の税金が大幅に増える、といったケースがあるのです。

さらには、夫の会社の制度によっては、「配偶者手当」の支給もストップされるといったこともあるようです。

■国民健康保険料への影響

デメリットの2つ目は、「国民健康保険料への影響」です。

会社勤めの夫の場合は、通常、政府管掌等の健康保険に加入されているでしょうから、影響はありません。

夫が自営業などで、お住まいの市区町村管轄の国民健康保険に加入している場合に、「妻の配当所得を確定申告するかどうかは要注意」です。

詳細は各自治体にご確認頂きたいのですが、ケースによっては、妻が配当所得を確定申告してしまうことによって、それが住民税に影響し、国民健康保険料が上昇してしまうことがあるようです。

※今後の話ですが、平成29年度税制改正大綱によると、所得税のみ確定申告するといった取り扱いが可能になりそうです。

■マニアックな論点ですが・・・

ちなみに、「同じ年に上場株式等の売却損がある場合のその売却損と配当所得の損益通算」又は、「前年以前の繰越損失と配当所得の損益通算」によって配当の税金が還付されるケースがあります。

これらの場合の夫の配偶者控除への影響は下記となります。

・同じ年に上場株式等の売却損がある場合のその売却損と配当所得の損益通算
⇒ 損益通算「後」の金額を基に計算

・前年以前の繰越損失と配当所得の損益通算
⇒ 損益通算「前」の金額を基に計算