平成27年の査察概要
   
作成日:08/01/2016
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■脱税業種ランキング

国税庁より「平成27年度査察の概要」が発表されましたので、今回はその中からいくつかピックアップしてご紹介します。

まずは、過去3年の「脱税告発の多かった業種」です。

平成25年
1位 クラブ・バー
2位 不動産業
3位 建設業、情報提供サービス、保険業
4位 広告業、人材派遣業

平成26年
1位 不動産業
2位 クラブ・バー
3位 建設業
4位 運送業、広告業

平成27年new
1位 建設業
2位 不動産業
3位 クラブ・バー
4位 機械器具卸

また、上記告発の多かった業種以外にも、

・ネットワークビジネスと称して、新規会員を勧誘することで多額の手数料を得ていた、いわゆる「マルチ商法」

・運用実態がないにもかかわらず、海外投資の名目で出資金を募っていた、いわゆる「投資詐欺」

など、その事業活動自体に違法または不当な行為が含まれるとして、社会問題化した業種についても積極的に告発がなされました。

■どうやって脱税したの?

脱税手法ですが、相変わらず古典的なものが多かったのですが、建設業や不動産業では「架空経費の計上」、クラブ・バーではホステス報酬に係る源泉所得税を徴収していたにもかかわらず「未納付」、業種に関係なく「売上除外」等となっていました。

他にも特徴的なものを挙げると下記がありました。

・複数の納税者に脱税を持ち掛け成功報酬を得ることを業とする、いわゆる脱税請負人に依頼して不正を行っていたもの

・国際事案では、海外で保有する株式の配当収入を除外したものや海外の法人に対して架空の経費を計上したもの

・消費税事案では、輸出免税売上に対応する課税仕入の消費税が還付になることを奇貨として、輸出取引を装い、国内における架空の課税仕入とこれに見合う架空の輸出免税売上を計上する方法で不正に還付を受けていたもの

■タマリはどこに?

タマリってご存知でしょうか?

タマリとは、「脱税工作で不正に蓄財された資産」のことです。

脱税によって得た不正資金(タマリ)の多くは、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、絵画や高級車の購入、ギャンブルなどの遊興費、特殊関係人に対する資金援助などに充てられていた事例もみられました。

また、不正資金の一部が海外の預金口座で留保されていた事例もありました。

脱税によって得た不正資金の隠匿場所の例です。

・居宅のクローゼットに置かれたバッグの中

・居宅階段下の物置に積まれた段ボール箱の中

・契約したトランクルームに保管された段ボール箱の中

ちなみに、上記の特殊関係人とは、一般的には愛人のことです。