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地主さんに影響大、相続土地売却の増税改正
作成日:
01/31/2014
提供元:
マネーコンシェルジュ税理士法人
■隠れた大きな増税改正
昨年末に発表された「平成26年度税制改正大綱」では、アベノミクスに乗じたいくつかの減税改正が明記されていますが、実は、隠れた大きな増税改正も組み込まれています。
特に、土地を多くお持ちの地主さんに影響が大きいです。
平成26年度税制改正大綱より
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算)について、次の措置を講ずる。
相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、その土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用する。
■相続税の取得費加算とは?
大綱を読むだけではナンノコッチャ?という感じかと思いますので、その仕組みと具体例を説明します。
「相続税の取得費加算」とは、「親が亡くなって3年10ケ月以内に相続した土地を売却した場合に、その土地売却益の税金計算において、相続税を経費として認めてくれる制度」です。
例えば、各5,000万円の甲、乙、丙、丁、戊5つの土地(合計2.5億円)があり、それらを地主の長男であるA氏がすべて相続したとします。
相続税は甲、乙、丙、丁、戊5つの土地全部で6,000万円と仮定。
親が亡くなってから3年10ケ月以内に、甲土地を売却したとします。
先祖代々の土地で取得費はほぼ0円のため、このままであると、「5,000円×20%=約1,000万円」の税金が発生します(売却額と相続税評価額は同一と仮定)。
それを、改正前の「相続税の取得費加算」を使うと、あら不思議、「5,000万円-5,000万円(上記相続税6,000万円の一部を利用)=売却益0円」となり、結局税金は0円となります。
■改正後は、こうなります!(増税)
では、改正後はどうなるのでしょうか。
平成26年度改正では、「取得費に加算する金額を、その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする」と書かれています。
つまり、上記の例でいえば、売却した甲土地に対応する相続税のみを、取得費としなければならないということです。
甲土地に対する相続税は、「相続税6,000万円×甲土地5,000万円÷全部の土地2.5億円=1,200万円」となります。
甲土地売却に対する税金は、「{5,000万円-1,200万円(甲土地売却に対する相続税オンリー)}×20%=760万円」となります。
この例では、甲土地売却に対する税金は、「改正前0円→改正後760万円」へと大幅増税になります。
(注)計算を簡便にするため土地の本来の取得費等は考慮外としています。
■地主さんに影響大
特にこの改正は、先祖代々土地を守ってきた地主さんに影響が大きいのではないかと思います。
ある意味、地主さんにとって、相続時というのは不動産を売却できるチャンスでもあるのですが、その税部分の旨味がこの改正後では減少することになります。
しかし、この特例は他の資産の売却では適用されない、土地売却のみに与えられていたいわば特権でもありましたので、長年改正論議があった項目でもありました。
もともとの始まり(1993年)も、バブル崩壊後の土地価格急落からの相続破産予防や物納抑制としてでしたので、ある程度その役割を終えているのかもしれません。
■まだまだ、間に合います
とはいえこの改正は、「平成27年1月1日以後に開始する相続等により取得した資産を譲渡する場合について適用する」、ですから、まだまだ間に合います。
少なくとも、既に相続が開始されている案件では、改正前が使えます。
また、この相続税の取得費加算は、売却資金についての資金使途はフリーですので、使い勝手が良いです(相続税の納税のために限定されていない)。
相続税の取得費加算について、詳しく聞きたい方は以下までご連絡ください。
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