3世代同居リフォーム控除(平成28年度税制改正)
   
作成日:01/12/2016
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■3世代同居に対応した住宅リフォームに係る特例の導入

 昨年12月半ばに、与党より「平成28年度(2016年度)税制改正大綱」が公表されました。

 大綱によると、「出産・子育ての不安や負担を軽減することが重要な課題であることを踏まえ、世代間の助け合いによる子育てを支援する観点から、3世代同居に対応した住宅リフォームに関し、借入金を利用してリフォームを行った場合や自己資金でリフォームを行った場合の税額控除制度を導入する。」と書かれています。

 この制度趣旨は、いわゆる「新・三本の矢」の第二の矢である「夢をつむぐ子育て支援」にある「希望出生率1.8」の実現に向けた措置であるといえます。

■特例は2種類

 3世代同居に対応した住宅リフォームに係る特例としては、「ローン付で行った場合の住宅ローン控除」と「ローンの有無に関係の無い所得税額の特別控除」の2種類が創設されます。

 具体的には、下記となります。

■3世代同居改修工事等に係る住宅ローン控除

イ 個人が、その者の所有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事を含む増改築等(以下「三世代同居改修工事等」)をして、その居住用の家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間にその者の居住の用に供した場合を特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の対象に追加し、その三世代同居改修工事等に充てるために借り入れた次に掲げる住宅借入金等の年末残高(1,000万円を限度)の区分に応じ、それぞれ次に定める割合に相当する金額の合計額を所得税の額から控除する。

 この特例は、住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用とし、控除期間は5年とする。

(イ) 一定の三世代同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高 2%
(ロ) (イ)以外の住宅借入金等の年末残高 1%

(注1)上記の「一定の三世代同居改修工事」とは、
(1)調理室、
(2)浴室、
(3)便所又は
(4)玄関
のいずれかを増設する工事(改修後、(1)から(4)までのいずれか2つ以上が複数となるものに限る)であって、その工事費用(補助金等の交付がある場合には、その補助金等の額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えるものをいう。

(注2)適用対象となる住宅借入金等は、償還期間5年以上の住宅借入金等とする。

(注3)三世代伺居改修工事等の証明書の発行は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関、建築基準法に規定する指定確認検査機関、建築士法の規定により登録された建築士事務所に所属する建築士又は特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定による指定を受けた住宅瑕疵担保責任保険法人が行うものとする。次項において同じ。

(注4)その他の要件は、現行の住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の要件と同様とする。

ロ 二以上の増改築等をした場合の控除額の計算の調整措置その他所要の措置を講ずる。

■3世代同居改修工事をした場合の所得税額の特別控除

イ 個人が、その者の所有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事をして、その居住用の家屋を平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間にその者の居住の用に供した場合を既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の適用対象に追加し、その三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除する。

(注1)上記の「一定の三世代同居改修工事」とは、(1)調理室、
(2)浴室、
(3)便所又は
(4)玄関
のいずれかを増設する工事(改修後、(1)から(4)までのいずれか2つ以上が複数となるものに限る)であって、その工事に係る標準的な工事費用相当額(補助金等の交付がある場合には、その補助金等の額を控除した後の金額)が50万円を超えること等の要件を満たすものをいう。

(注2)上記の「標準的な工事費用相当額」とは、三世代同居改修工事の改修部位ごとに標準的な工事費用の額として定められた金額にその三世代同居改修工事を行った箇所数を乗じて計算した金額をいう。

(注3)その年の前年以前3年内の各年分において本税額控除の適用を受けた者は、その年分においては本税額控除の適用を受けることはできない。

(注4)その年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、本税額控除は適用しない。

口 上記イの税額控除は、確定申告書に、その控除に関する明細書、三世代同居改修工事が行われた家屋である旨を証する書類及び登記事項証明書その他の書類の添付がある場合に適用するものとする。

ハ 上記イの税額控除は、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除又は特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の適用を受ける場合には、適用しない。


※今回の内容は国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。(政治が安定していますのでこのまま決まる可能性が高いと思われますが)。