ふるさと納税、当初の思いと実際の利用状況
   
作成日:09/12/2016
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■当初の思い

平成19年に総務省において、千葉商科大学学長である島田晴雄氏を座長に迎え、「ふるさと納税研究会」が開催されました。

そこで、ふるさと納税の制度趣旨などが議論されました。

以下、総務省HPよりふるさと納税の制度趣旨となります。

多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。

その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。

そこで、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」、そんな問題提起から始まり、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税制度です。

■ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税の当初の思いは、「都会に集中してしまっている税収を、故郷の自治体に配分していこう」というもので、まさに「地方創生」といえるものです。

しかし、実際のふるさと納税については、下記2点で誤解が生じています。

1.「ふるさと」と言いながら「どこでもOK」
2.「納税」ではなく「寄付」

ふるさと納税とは、「任意の地方自治体に寄付することによって、寄付した額のほぼ全額が税額控除(ただし年収等によって限度額有り)され、更に、寄付先の地方自治体から米や肉、電化製品などの返戻品がもらえる制度」です。

「納税」という名称がついていますが、形式上は「寄附」で、更には「ふるさと」と言いながら実際の寄付先は「どこでもいい」ことになっています。

■実際の利用状況

では、実際の利用状況はどうなのでしょうか。

ふるさと納税を利用されている方は、どうやって寄付先を見つけているのでしょうか。

自分が生まれ育った本当の故郷、学生時代にお世話になった自治体などに寄付されているのでしょうか。

残念ながら多くのケースでは、まず「どんな返戻品が欲しいか」をホームページ等でチェックして、欲しい返戻品がリストに挙がっている自治体に寄付されています。

実際ふるさと納税を行うと、年収などによって限度額があるものの、例えば、5万円寄付すれば、ほぼ5万円が税額控除又は還付を受けることが出来て、実質負担はほぼ0円となります。

そして、通常はふるさと納税後数ケ月以内に、「肉・米・フルーツ・エビカニ・家電製品・テレビ・パソコン・自転車などの御礼の品」が自宅に届くのです!

わかりやすくは、ふるさと納税することよって、この「御礼の品の分だけ得」をするということになります。

つまり、実際のふるさと納税の利用状況としては、「地方創生」という感じでは全くなく、「御礼品目当て」となっています。