相続税2割増しに、要注意!
   
作成日:12/11/2015
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■100万円の相続税が120万円に

 お爺ちゃんが可愛い孫のためにと、預貯金などを遺言したとします。

 その後、お爺ちゃんが亡くなりました。
相続人は妻とお爺ちゃんの子供(孫からみると親)です。

 この場合、遺言で預貯金などを受け取った孫にも、当然ですが、受け取った相続財産に見合う相続税がかかります。

 例えば、その相続税が通常100万円であれば、「孫が受取ることによって2割増しの120万円になってしまう」のを、ご存知ですか?

 この制度を、「相続税額の2割加算」といいます。

 相続税額の2割加算を正確にお伝えすると、「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫を含みます)及び配偶者以外の人である場合に、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される制度」のことです。

 この制度趣旨は、相続の1世代飛ばしに歯止めをかけることです。

 つまり、自分の子どもではなく孫に財産を渡す人が多くなれば、3世代トータルでみると相続税が大幅に軽減されてしまうので、便宜的に2割加算としたのです。

■孫以外にも、兄弟姉妹の場合も

 しかし、孫が財産を相続等した場合でも、孫の親(お爺ちゃんからみると自分の子供)が先に亡くなっていて、孫が父の代襲相続人となる場合には、上記の2割加算の対象外となります。

 また、子供のいない夫婦で夫が死亡した場合には、通常、その夫の兄弟姉妹も妻と合わせて相続人となりますが、その兄弟姉妹が受取る相続財産に対しても2割加算の対象となりますので、ご留意ください。

 兄弟姉妹が先に亡くなっていて、いわゆる、甥(おい)や姪(めい)が相続人となるケースでも同様に、2割加算の対象となります。

 相続税100万円に対しては120万円ですが、相続税1,000万円に対しては200万円アップとなる1,200万円となります。

 「遺言により孫へ遺贈する場合」や、「孫がお爺ちゃんと養子縁組をして相続財産を受け取る場合(孫養子)」などには、相続税額の2割加算制度に注意して下さい。

 ちなみに、お爺ちゃんが孫に生前贈与を行うことがありますが、それに対しては、2割加算のような罰則的な規定はありませんので、ケースによっては積極的に活用頂けたらと思います。

 この場合、上記のような孫への遺贈や孫との養子縁組がなければ、その贈与について、3年以内の生前贈与加算もありません。