配偶者控除、見直しへ
   
作成日:09/21/2016
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■配偶者控除、見直しへ

先月終わりに、下記のニュースが飛び込んできました。

-----------日経新聞2016.8.30-------------

配偶者控除見直し検討 自民税調会長が表明 共働きも適用

自民党の宮沢洋一税調会長は29日、日本経済新聞のインタビューで、2017年度税制改正で専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除の見直しを検討すると表明した。

同控除を廃止し、共働き夫婦にも適用する新しい控除を18年1月にも作る案が有力だ。

伝統的な家族観や社会構造の変化にあわせ、女性の社会進出を阻む壁をなくしつつ、結婚を税制面で後押しする狙いだが、与党内には慎重論もある。
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この税制改正案、実は我々税のプロの中では、「またか!」というぐらい頻繁に議論されるテーマで、ある種、お馴染みです。

そして過去の結果は、「政治マター」によって「見送り」となってきました。

■そもそも配偶者控除とは?

配偶者控除とは、妻又は夫が無収入もしくはパート等で年収103万円以下である場合に、けられる所得控除です。

通常は、38万円の所得控除ですが、配偶者の年齢が70歳以上の場合は48万円となります。

38万円の所得控除とは、税率20%の方でしたら38万円×20%=7.6万円の節税となりますので、結構影響の大きなものとなっています。

そのため年末時点で、次の4要件のすべてに当てはまらないと控除が受けられないことになっています。

(1)民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
(2)納税者と生計を一にしていること
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

(4)は自営業者の規定で通常は(3)は満たすことになると思いますので一般のサラリーマンなどでは、内縁関係でない民法上の配偶者で、配偶者の給与収入が103万円以下の場合に、通常38万円の配偶者控除が受けられることになります。

■夫婦控除の創設?

冒頭の記事では「女性の社会進出を阻む壁をなくし」という言葉もあるように、「いわゆる103万円の壁を考えて働くのを躊躇しているケース」や、「共働き世帯への支援」を想定しているようです(別途、社会保険関係の106万円の壁、130万円の壁は残りますが)。

また、「共働き夫婦にも適用する新しい控除を18年1月にも作る案」とありますので、単に配偶者控除を廃止するのではなく、年収制限などは別途設けられるかもしれませんが、「夫婦控除のようなもの」が創設されることになるのかもしれません。

年末に発表される「税制改正大綱」に掲載されることになるのかどうかは、現時点では未定ですが、今後もますます議論が深まっていくものと思われます。

ちなみに、配偶者の年収が103万円を超えれば控除は0円になると誤解されている方がおられます。

実は、配偶者の年収が103万円超141万円未満の場合は、別途、配偶者特別控除を「3万円~38万円」の範囲内で受けることができますので、覚えておいてください。