外国人の年末調整が厳格に!~平成27年度税制改正大綱
   
作成日:02/10/2015
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■扶養親族7人?

飲食店や小売店などを経営する会社の年末調整を担当させて頂いていると、時々びっくりすることがあります。

東南アジア人のアルバイトAさんの扶養控除申告書
 ↓
扶養親族の数7人!
 
控除額は、それだけで38万円×7人=266万円なーり!

これに基礎控除も足すと266万円+38万円=304万円となり、給与所得控除から逆算すると、なんとびっくり年収450万円あっても所得税がほぼ0円になります。

東南アジア独特の「子供の数が多かったり」、「大家族であったり」することがその理由ですが、時には虚偽のケースも過去にはあったようです。

また、それらを煽(あお)るようなホームページも散見されます。


■日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化

生計一親族(仕送りなど必要)で、年間の合計所得金額が38万円以下であれば、例えその方が海外に住んでいても、日本で扶養控除の対象にすることは可能です。

外国人だからといっても日本の居住者であれば、日本の年末調整実務が変わることはありません。

しかし、海外の扶養親族は日本の税務署も調べきれないだろうとたかをくくっていい加減に扶養親族の申告をしているのであれば、問題です。

そこで、平成27年度税制改正では、下記のように記載されました。


日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の適用を受ける納税者に対して、確定申告書等に「納税者の親族であることを確認できる書類」、「納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確認できる書類」を添付し、又はその確定申告書等を提出する際に提示することを義務付ける。


1.

確定申告において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示しなければならないこととする。
ただし、下記2又は3により提出し、又は提示したこれらの書類については、添付又は提示を要しないこととする。
 

2.

給与等又は公的年金等の源泉徴収において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除又は障害者控除(以下「扶養控除等」)の適用を受ける居住者は、親族関係書類を提出し、又は提示しなければならないこととする。
 

3.

給与等の年末調整において、非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける居住者は送金関係書類を提出し、又は提示しなければならないこととし、非居住者である配偶者に係る配偶者特別控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類及び送金関係書類を提出し、又は提示しなければならないこととする。
 

■「親族関係書類」と「送金関係書類」とは?

上記の改正は、平成28年分以後の所得税、平成29年度分以後の個人住民税について適用される予定です。

また、上記の「親族関係書類」とは、次の1又は2のいずれかの書類となります。


1.

戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類でその非居住者がその居住者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し
 

2.

外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限る)
 

上記の「送金関係書類」とは、その年における次の1又は2の書類で、その非居住者である親族の生活費又は教育費に充てるためのその居住者からの支払が、必要の都度、行われたことを明らかにするものとされています。


1.

金融機関が行う為替取引によりその居住者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類
 

2.

いわゆるクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその居住者から受領したことを明らかにする書類
 

ちなみに、これらの親族関係書類又は送金関係書類には、日本語訳が必要とされています。



今回の内容は国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。(政治が安定していますのでこのまま決まる可能性が高いと思われますが)。