平成27年分の所得税確定申告状況
   
作成日:08/10/2016
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■国税庁より発表

前回は、国税庁より発表された「平成27年度査察の概要」より、いくつか興味深い部分をピックアップして解説などを加えました。

今回はその査察の概要発表と同時期である平成28年6月に、国税庁より発表されました「平成27年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」より、所得税関係にしぼってお伝えしたいと思います。

ちなみに、同時期に下記も発表されましたので、別の機会にこのコラムで解説を加える予定です。

・平成27年度における異議申立ての概要
・平成27年度における審査請求の概要
・平成27年度における訴訟の概要

■確定申告書・還付申告書の提出人員

平成27年分所得税等の確定申告書の提出人員は2,151万5千人で、平成26年分(2,139万1千人)から12万3千人(+0.6%)増加と、平成23年分からほぼ横ばいで推移しています。

医療費控除や住宅ローン控除等が有名な税金が戻る場合の還付申告書の提出人員は1,246万5千人で、平成26年分(1,248万7千人)から2万2千人(マイナス0.2%)減少と、平成22年分からほぼ横ばいで推移しています。

ちなみに、還付申告書の人員は、上記の確定申告書人員に含まれています。

■納税人員・所得金額・申告納税額

では、納税人員や所得金額、申告納税額はどうだったのでしょうか?

確定申告書を提出した人員のうち、申告納税額のあるもの(納税人員)は632万4千人で、その所得金額は39兆3,729億円、申告納税額は2兆9,701億円となっています。

これを平成26年分と比較すると、納税人員(+3.3%)、所得金額(+6.1%)及び申告納税額(+9.6%)はいずれも増加しました。

これは少し意外に感じましたが、アベノミクスが影響しているのか、「納税人員・所得金額・申告納税額」のすべてにおいて増加となっています。

■株式譲渡と不動産譲渡

確定申告書を提出した人員のうち、株式等の譲渡所得の申告人員は90万7千人で、そのうち、有所得人員は46万2千人で、その所得金額は2兆7,405億円となっています。

平成26年分と比較すると、申告人員(マイナス3.1%)は減少、有所得人員(+0.2%)はほぼ横ばいとなっており、所得金額(+25.9%)は増加しました。

有所得人員は横ばいであるにもかかわらず、所得金額は大幅増ですから、大儲けされた方がいたということでしょうか?

一方、確定申告書を提出した人員のうち、土地等の譲渡所得(総合譲渡を含む)の申告人員は48万9千人で、そのうち、所得金額のあるもの(有所得人員)は32万1千人で、その所得金額は4兆595億円となっています。

平成26年分と比較すると、申告人員(+1.7%)はほぼ横ばいとなっており、有所得人員(+6.6%)及び所得金額(+12.2%)はいずれも増加しました。

これらもアベノミクスの影響でしょうか、有所得人員及び所得金額ともに増加となっています。

まとまった土地があれば、「ホテル」が買っていくというのが最近よく目にする街中の傾向ですね。