トランプ氏と法人税
   
作成日:11/21/2016
提供元:マネーコンシェルジュ税理士法人
  


■トランプ氏が次期大統領に

周知のことかと思いますが、11月9日午前に、ドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領に決まりました。

正式就任は、来年1月となります。

あれだけの悪評があったにも関わらずの勝利ですから、逆にどれだけ現在の政治や政治家に対する不満が大きかったのかとびっくりします。

また、政治経験豊富で女性初など大統領になる下地十分にも関わらず当選がかなわなかったクリントンさんに対しては、どれだけ嫌われているねん!とそのアメリカ国民のクリントンさんに対する嫌悪感の大きさにもびっくり。

■トランプ氏と法人税

経済に強いといわれているトランプ氏は、「政権移行100日で経済改革を一気に進める」と表明し具体的なメニューも既に提示しています。

その中では、先進国では珍しい法人税の超大型減税も含まれています。

-------2016.11.11日経新聞-------

トランプ氏、経済改革100日で断行 ~法人税15%に下げ 財政悪化など懸念拭え

米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏は来年1月の就任後、巨額減税を柱とする経済再生策を100日間で断行する構えだ。

「経済成長を加速させ、最強の経済をつくる」と宣言した同氏にとり、景気浮揚のスタートダッシュは政権の安定運営のカギを握る。

大型減税や財政出動による景気刺激策を市場は好感しているものの、財政悪化やインフレ懸念も拭えない。

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■法人税率を35%から15%に

具体的には、「連邦法人税率を35%から15%に引き下げる」となっています。

実は、アメリカの法人税制は1986年から約30年間、抜本改革が先送りされ続けています。
現在のオバマ政権でも28%への引下げを検討されていましたが、議会のいわゆるネジレが影響して、実現に至っていません。

トランプ氏の大型減税の意図は明白です。

高い税率を嫌って海外に逃避したアメリカ企業やその企業が所有する資金を再度、アメリカに還流させることです。

いわゆる「損して得取れ」の発想だと思います。

トランプ氏の公約では、今後10年間の経済成長率を平均3.5%に高めるとしています。
最終的には現在の2倍の4%にまで、経済成長率を引き上げるとしています。

企業減税等を行い、アメリカ企業のアメリカ回帰や投資活動の活性化を図り、結果、経済成長率を引き上げるといういわゆる「上げ潮派」の考え方ですね。

とてもとてもアベノミクスに似ています。

その意味では、安倍さんとトランプさんの11/17の直接会談では、意外にも意気投合するのではないかと密かに思っています。

ちなみに、トランプ氏の上記経済再生策では、減税と財政支出を同時に進めますので、当然の当然のことですが、財政赤字が急拡大するというギャンブルめいた部分が内在していることは、改めて付け加えておきます。

■変化はチャンス

大企業や守るべきものが多い方には、もしかしたら現状のルールや制度が変わることには抵抗があるのかもしれません。

しかし、

・若者や創業10年以内の若い会社
・現状くすぶっている人や会社
・チャレンジを選択した高齢の方や老舗の会社など

にとっては、「変化は間違いなくチャンス」です。

現在の枠組みがパラダイムシフトするのですから、例えれば、下克上、戦国時代です。

トランプ氏になっての不安要素を考えるだけではなく、前向きに、「変化はチャンス」と捉えましょう。

また、日本という国が、政治の安定や和を尊ぶ精神など、今まさに世界が欲する部分を持っているというアドバンテージがあることも見逃せません。

ちなみに、以下は余談ですが、来年にはオランダで下院選挙、フランスで大統領選、ドイツで連邦議会選挙などが控えています。

右寄りの頭を持った方々が世界レベルで噴出してくるのかもしれません。
右寄りの頭とは、自国第一主義。

来年は残念ながらいくつかの戦争が起こるのかもしれません。