株主総会資料のWEB開示
   
カテゴリ:法務
作成日:06/12/2012
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は当社の株主総会の日で、監査役の小松さんが出社してきました。
 

リエ
「3月決算会社の株主総会の時期ですね。昨年から総会資料をWEBで開示する会社が増えていると聞きましたが、WEB開示の制度って何ですか?」

 
小松
「WEB開示制度というのは、会社法施行に伴ってできた制度で、会社の定款に定めることによって、株主総会の招集通知とともに株主に提供すべき資料の一部をウェブサイトに掲載し、かつ、そのサイトのアドレスを株主に通知すれば、それらの事項が株主に提供されたものとみなす制度です。この制度によって、株主に対する書面の提供を物理的に省略することができるので、株主総会の招集のための費用を削減することが可能になります。」

リエ
「会社法が施行されたのは6年前ですけど、昨年から急に増えたのは、どういう事情でしょうか。」

小松
「上場企業の9割以上は、会社法施行から間もなく定款を変更して、WEB開示が可能な状態になっています。ただ、株主総会は形式が重要なので、新しい試みをすることによるトラブルを恐れたのか、ほとんど利用する会社はありませんでした。でも、昨年は震災があって、紙に印刷して郵送することが物理的に難しいことも想定されたので、経済産業省が“当面の株主総会の運営について”というガイドラインを出して、WEB開示を推奨したという事情があります。その影響か、一昨年は44社だったのが、昨年は4倍強の184社に増加したそうです。今年はさらに増えるでしょう。」

リエ
「具体的にどの書類がWEB開示の対象になるのですか。」

小松
「WEB開示の対象書類は、株主総会の招集通知、株主総会参考書類、事業報告、計算書類の個別注記表、連結計算書類です。株主総会参考書類に記載する事項は取締役会の決議になります。ただし、監査役又は監査委員会が異議を述べた事項は、株主への周知徹底・注意喚起のためWEB開示の対象とはならず、書面等により株主に提示しなければならない、ということになっています。」

リエ
「監査役の出番がWEB開示でもあるということですね。」

小松
「監査報告には、事業報告や計算書類、連結計算書類が適正である旨が書かれているのに、実際に提供されている紙ベースの書類は、その一部でしかないので、株主に誤解を与える恐れがあるような場合は、監査役から請求できるようにしているわけです。」

リエ
「WEB開示する期間はどのくらいですか。」

小松
「招集通知を発出した時から開示を開始し、株主総会の日から3ヵ月を経過する日までの間、継続して開示することが必要ということになっています。インターネットのトラブルなどの心配もありますが、特に定めはありません。」

リエ
「インターネットは便利なので、会社としては情報提供として利用したいと思っても、従来の慣習とか、株主間の平等な扱いなど、いろいろ配慮して取組みが遅れているように思えます。今年の株主総会がどうなるか、よく見ておきます。ありがとうございました。」