監査役って、何をする人?
   
カテゴリ:法務
作成日:03/20/2006
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は定例の取締役会の日で、監査役の小松さんが出社して来ました。
 

リエ
「お疲れ様です。これが今日の取締役会に提出する資料ですので、ご確認お願いします。ところで、一般に監査役というのは会社の中でどのような役割があるのですか?」

 
小松
「監査役は商法上では、『取締役の職務の執行を監査する』ことが仕事なんですよ。カッコ良く言うと、コンプライアンスを持続し、経営者の独断に歯止めをかけ、目先の利益を追求しがちな株主の一方的な主張を押さえ、従業員には雇用の機会を与えて意欲向上を図る、というような理想を目指して、会社と独立した立場で経営のチェックを行う仕事ということです。これは、最近よく話題になっている『コーポレートガバナンス』において、中心的な役割を担っていると言えるのではないでしょうか。」

リエ
「そんなに重要な役割でも、あまりオモテに出てこないですよね。」

小松
「監査の経費は会社が負担しますから、一般には収益に直接結びつかない費用は会社としてはかけたくないわけです。しかし、現状の商法で、株式会社は取締役3名以上と監査役1名以上が必要なので、オーナー中小企業では、とりあえず知り合いの名前や顧問税理士を入れている場合が多いです。大企業でも、その会社を引退した人が名誉職として就任することがよくあり、揶揄して“閑散役”などと言っていることもあります。」

リエ
「株式を上場している会社では、監査法人が付いていますけど、監査役とはどういう関係ですか?」

小松
「商法では、資本金5億円以上または負債が200億円以上の会社を大会社といって、監査についていろいろな制限をしています。まず、監査役の監査以外に、株主総会で選任した会計監査人の監査を受けなければならないと決められており、その資格が、公認会計士、監査法人ということになっています。通常、監査法人が会計監査人を担当するので、会計監査人のことを監査法人と言っています。会計監査人の役割は、計算書類、付属明細書、会計に関する営業報告書を監査することです。ここでは、監査役の仕事と重複しますが、一般に内部者に近い監査役の監査だけでは、様々な利害関係者の納得は得られないですし、複雑な経理の内容を監査するためには、職業的専門家が必要ということです。」

リエ
「大会社では、その他にも監査についての制限があるのすか?」

小松
「大会社では、監査役は3人以上で、そのうち1人以上は、社外監査役(就任の前5年間、会社やその子会社の取締役、支配人その他の使用人でない)ということになっています。さらに、大会社は3名以上の監査役で監査役会を構成する、ということにもなっています。監査役会というのは、監査対象が広範囲な大会社においては組織的な監査を行うことが必要なので、その調整機関という位置づけです。」

リエ
「それだけ制限があっても不祥事や粉飾決算があるのは、その抜け道を通っているということですね。」