1円株式会社
   
カテゴリ:法務
作成日:03/25/2003
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


亀井工場長と会計事務所の黒田さんが雑談をしています。会社を興すとか、作るとか、さては、亀井工場長が独立を考えているのでは……。
 
亀井工場長
「黒田さん、会社が資本金なしで作れるようになったということだけど、それホント」

黒田
「ええ、『1円株式会社』ですね。いままでは、会社を作るのに、株式会社が1000万円、有限会社が300万円 の資本金が必要でした。でも、特例ができて、資本金が1円でもあれば、会社ができるようになったんです。」
 


亀井工場長
「いやね、うちの甥っ子が、コンピュータ会社を始めるってんだ。私は、コンピュータのことはよく分からないんだが、仲間3人で始めるのに、会社でやった方がいいということになったらしい。でも、資本金がない。ところが、法律改正で、資本金がいらない特例ができたのがわかった。そこで、伯父さん、専門家で詳しい人いない?って話になってね。」
  

黒田
「専門家といわれると、心許ないところがあるけど、私の知っているところをお話ししますね。まず、5年経って所定の資本金(株式会社1000万円、有限会社300万円)が満たせなければ解散するという内容を入れた定款を作り、その定款に、初めて事業をはじめたことなどの証明書をつけて、経済産業局に確認書を出してもらう。それをつけて、登記をすることになるんです。」

 
リエ
「要するに、お上のお墨付きが必要なわけね。よかった、亀井さんが独立する訳じゃないのね。安心、安心。」

亀井工場長
「あれ、リエちゃん聞いていたの。私がいなきゃ、この会社困るじゃない。ヘンな、心配するなよ。ところで、黒田さん、他に注意点は。」

黒田
「ええ、この1円株式会社は、既に個人事業を営んでいる人や会社の代表者には起こせません。もっとも、個人事業をやめたり、代表者を辞任すれば別ですがね。あと、配当ができる利益の計算には、資本金があるものとして計算することや、決算書を、決算期ごとに経済産業省に提出して公衆にオープンにしたりする煩わしさがあるかな。」
 


リエ
「もし、5年以内に資本金ができなかったらどうなるの。」

黒田
「うん、そのときには、合名会社か合資会社に組織変更するか、解散するしかないかな。あと、資本金は0では会社はできません。だから、1円会社。」