取引先にファンドとTAMが入った
   
カテゴリ:法務
作成日:01/24/2012
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


先日、取引先のA社から代表者変更の案内が届いたので、営業担当の田村さんが挨拶に行ってきました。

田村
「A社は、経営状態が悪化して事業再生に取り組んでいます。そのため、事業再生ファンドが入って社長も代わったとのことでした。事業再生ファンドってどういうことですか。」

旭課長
「事業再生ファンドは、経営状態が悪化して、外部から何らかのテコ入れを必要としている企業を投資対象として、必要な資金を投じて株式を取得し、ファンド運用会社から役員を派遣するなどして、投資先企業の再建を全面的に後押しする投資手法のことです。最終的には株式公開や他社への売却などで利益を得ることを目的としています。」

田村
「新しい社長はファンド運用会社から派遣されたと言っていました。前の社長には経営権がなくなっているということですか。今までお得意さんとして親しくしていたのですが。」

旭課長
「ファンドから社長が派遣されたということは、旧社長には経営権はないと思いますよ。」
 

リエ
「企業再生の本に、ファンドがTAMを投資先の会社に送り込むということが書かれていましたけど、新社長はそういう方ですか。」

 
旭課長
「リエちゃん、よく勉強しているね。TAMは“Turn Around Manager”の略称で、日本語では再建請負人とか企業再建人と訳されている。投資先企業の現在の経営者に代わって、企業を短期間で再生する役割を担っている人、または、それを専門にする人のことだよ。だから、新社長はまさにTAMだね。」

田村
「新社長は短期間ということですか。」
 


旭課長
「その可能性は高いです。TAMの最大の使命は、悪化した経営を短期間に再生して、企業価値を高めることにあります。その上で、取得した株式の公開または売却することが目的ですから。かなりドラスティックな改革をするはずです。」
 
リエ
「馴染みのお得意先が変わってしまうのは残念ですけど、倒産するよりは良いですからね。再生して良い会社になっていただきたいです。」