お金を貸すときの注意点
   
カテゴリ:法務
作成日:06/27/2001
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  




 旭課長と赤井弁護士が会議室で打ち合わせをしています。リエちゃんは「ある書類」の作成を頼まれるということで同席しています。赤井弁護士は、若い弁護士さんで、本当にかっこいいんです。リエちゃん、ポーとして要件を聞き漏らさなければいいのですが・・。
 

旭課長
 「赤井先生、実は、今度A会社に金銭で300万円を貸し付けることになったんです。このA社は、古くから取引のあるデザイン会社で、取引もずいぶんありますので、社長もおつきあいせざるを得なくなったんじゃあないでしょうか。うちは、金融機関からの融資は受けていますが、金銭を貸し出すケースは初めてなんですよ。注意点を教えて下さい。」


赤井先生
 「一応、貸倒れにならないためには、貸し付ける相手方の支払い能力と、その会社の経営者の人柄を確かめることが大切です。ま、今回は、社長の古くからのお知り合いの社長ということで人柄はいいとしますが、支払い能力は最低限確認しておいて下さい。
 具体的には、A社及びA社の社長所有の不動産の登記簿謄本を調べ、その不動産が担保に入っているか、入っていればどの程度の担保に入っているかを確認する必要があります。
 同族会社の場合は、会社の資産と個人の資産とが入り交じっているケースが多いものですから、社長所有の不動産の担保状況を確認することも重要です。調べた不動産にその価格を超えて、いくつも抵当権が設定してあったり、あるいは代物弁済の予約がしてあったりしたら、警戒して下さい。」

旭課長
 「はい、まず私のほうで、確認してその状況などを社長にご報告します。」

リエ
 「赤井先生、私はどのような書類を作ったらいいんですか。」



赤井先生
 「ああ、リエちゃん、こんにちは、久しぶりですね。リエちゃんには、契約書を作ってもらおうかな。それは、金銭消費貸借契約書といって街の文房具屋さんでも売っていますので、それを利用すれば簡単です。その書類を作るときには、金額、弁済期日、利率、実際に金銭を貸し渡した日付などをはっきり書いて、双方記名捺印します。」

リエ
 「はい、分からなければ、先生に直接お聞きしてよろしいですか。」

赤井先生
 「ははは、もちろんいいよ。あ、旭課長それとA社社長にも連帯保証をしてもらうといいですね。そして、もし可能であれば、A社あるいはA社社長の不動産に抵当権や譲渡担保権の設定、代物弁済の予約などの物的担保を設定してもらうことです。」

旭課長
 「はい、その辺も社長と相談して可能な限りのことはします。やはり、金銭の貸し借りはあいまいにしてはいけないんですね。そうそう、リエちゃんあまりあいまいな質問をして、赤井先生を困らせるんじゃあないぞ。」



リエ
 「は~い。」