社外取締役の導入
   
カテゴリ:法務
作成日:07/29/2014
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 今日は、定例の取締役会の日で、監査役の小松さんが出社して、最近話題の社外取締役について話しています。


リエ
「最近、大企業は社外取締役を積極的に導入していますね。なぜですか。」


 




小松
「昨年、アベノミクスの成長戦略の中で、“コーポレートガバナンスの強化”が政策として掲げられて、社外取締役の導入を促進するように指示が出されているということが背景にありますね。」
 

リエ
「社外取締役って、どのような役割があるのですか。」

小松
「日本取締役協会という組織があって、そこでは社外取締役の主な役割は、(1)社外取締役・取締役会の主たる職務は、経営(業務執行)の意思決定ではなく、経営者(業務執行者)の「監督」である、(2)「監督」の中核は、経営者が策定した経営戦略・計画に照らして、その成果が妥当であったかを検証し、最終的には現在の経営者に経営を委ねることの是非について判断することである、という提言を出しています。そして、この監督機能をモニタリング・モデルと言っています。」

リエ
「会社には監査役がいて、取締役の監査をしているのに、さらにチェックするのですね。」

小松
「経営のチェックをするという意味では、同じ性格をもっているかもしれないけど、監査役は法令順守という部分に重きをおいているのに対して、社外取締役は会社の事業に対する監督業務を主たる機能とすると考えられます。自分でいうのも何だけど、企業の不祥事などにおいて従来の監査役が十分にその機能を果たしていないので、もっと強化するように海外も含めて市場から求められたということだと思います。」

リエ
「社外取締役を置かないとどうなるのですか。」

小松
「会社法が改正されて、大企業・公開会社・有価証券報告書の提出義務があるなど一定の要件に該当する会社について、社外取締役を置いていない場合には、定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない、とされています。」

リエ
「義務にはなっていないのですね。」

小松
「当初は義務化で提案されたけど、経済界の反対で義務化にはならなかったようです。ただ、将来は義務化が求められるようです。義務化でなくても、社外取締役を置かない会社は、説明を義務付けられたので面倒なことが増えたなとは思います。」

リエ
「外の人が会社を見て、そんな簡単に不祥事がなくなるとは思えないのですが、客観的な意見をいただけるのは新鮮でよいかもしれませんね。小松監査役、ありがとうございました。」