会計参与制度ってなに?
   
カテゴリ:法務
作成日:01/25/2005
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



旭課長
「お~い、リエちゃん、伊豆野先生と黒田さんにお茶を頼む。あ、そうそう、お茶菓子があったな。三時のおやつ。」

 
リエ
「は~い。工場長のふるさとみやげで、とっておきのお菓子がありますよ。あ、そうそう、三時で思い出したけど、参与だったけかな、う~ん、会計参与制度。商法改正で上がってきた制度ですよね。確か税理士さんが対象になると聞いているけど、これはどんな仕組みになっているのかしら。もう情報入ってます?」

伊豆野税理士
「さすが、感度が高いね、リエちゃん。この会計参与制度は、いま、法制審議会で揉んでいる商法改正の項目のひとつで、通常国会で、成立予定。来年4月施行予定の、今話題のトピックじゃあないかな。」

旭課長
「会計参与制度は、税理士先生の顧問制度とイメージがだぶる部分があるのですが、どんな違いがあるのですか。」
  


伊豆野税理士
「うん、まだ、詳細が固まったわけではないので、大枠のところから説明するよ。違いといえば、会計参与が商法上の機関で、いってみれば、会社の内部の機関であるのに対し、税理士の税務代理は、会社の外部からの委任契約を前提とした関係。内部と外部の関係といっていいかな。とはいっても、会計参与は、社外取締役といっしょで、会社に対して客観的な立場を期待されていることも事実なんだ。これは、決定的な違いとは言えないかもしれないね。」
 
リエ
「それじゃあ、税理士の仕事と、平行できるということですか。」

伊豆野税理士
「そう、実は、税理士は、税務に関しては独占業務だけど、会計業務に関しては、任意業務になっているんだ。でも、法人税は、一般公正妥当な会計処理の基準から誘導されるので、そういう意味で税理士は会計の専門家でもある。つまり、会計参与は、担当の黒田君がやっているように、毎月の監査業務を通じて、決算書を一緒に作り、株主の求めに応じて説明したり、会計事務所に書類を保存したりすることが仕事だから、税理士業務に通じるところは大いにあるといえるね。」

旭課長
「それでは、わが社との契約は2本建てになるということですか。」

伊豆野税理士
「会計参与をおくのは、株主が複数いて債権者に対する意識も高いところだろうね。つまり、定款で置くことを任意に設定できるから、必要な会社は限定される。御社の場合には、債権者に対して、決算書の信憑性を付与する必要があるから、会計参与は置くべきだろうね。社長とも相談するつもりでいるけれど、いまの決算業務が会計参与の業務となるので、会計参与の業務は、税理士顧問契約の中に吸収されるようになると思うね。」
 

リエ
「それじゃあ、これからは伊豆野先生は税務の専門家であると同時に、会計の専門家としてわが社とより深くお付き合いができることになるんですね。」

   


伊豆野税理士
「ははは、私はますます、責任重大になるね。」
 
黒田
「私は、ますます、緻密な仕事を要求される~。」