日本版SOX法って何?
   
カテゴリ:法務
作成日:11/27/2007
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 本日は取締役会のために、監査役の小松さんが出社して、総務の部屋で雑談をしています。

リエ
「この前、新聞で日本版SOX法のことが書いてありましたが、何か私たちの仕事に関係あるのでしょうか?」

小松
「日本版SOX法は、上場企業およびその連結子会社に、会計監査制度の整備と内部統制の強化を求めるもので、非上場の会社は直接適用されるわけではないけど。ただ、財務諸表の信頼性という点では、金融機関その他ステークスホールダからは、準じた考え方が求められると思うよ。」

リエ
「そもそも、基になっているアメリカのSOX法って、どういう趣旨で作られた法律なんですか。」

小松
「SOX法は、Sarbanes Oxley Act(サーベンス・オクスリー法)の略称で、米国で2002年に制定された法律のこと。当時、アメリカの大企業が不正経理を行い、一般投資家が誤った情報で投資することになり、401kなどの年金給付まで損害を与え、証券市場の信頼性が大問題になっていた。そこで、粉飾決算などを防ぎ、財務報告内容の信頼性を確保して、株主や社会に対する企業の信用を高めることを目的として、企業活動を内部統制によって適正化・効率化することを経営者に義務付けたもの。米国で施行されているSOX法(企業改革法)の日本版ということで、日本版SOX法と呼ばれているけど、実際には、証券取引法の抜本改正である「金融商品取引法」の一部規定がこれに該当するんですよ。」

リエ
「企業の不正を防ぐための内部統制の整備というのは、具体的にどういうことでしょうか。私たちの仕事にも関係ありそうですが…。」

小松
「内部統制とは、経営者の意思に従い事業を適切に遂行していくための企業内部の管理体制のことで、資産の保全と財務報告の信頼性を確保し、事業活動にかかわる法規を遵守しながら、業務の有効性と効率性を高めるプロセス全体を指している。難しそうだけど、どんな会社でもある程度の内部統制はあると思う。例えば、現預金の出納をする人と、入出金伝票をチェックしたり決済する人を分けたり、定期的に人事異動によって、同じ人が同一業務に長く就かないようにしたり、というような工夫で不正を防ぐ仕組みがあり、これが内部統制ということだよ。ただ、日本版SOX法では財務報告に関わる全ての業務において、内部統制が適用されることが求められるので、これが大変なところ。特に、コンピュータなどスキルのある特定の人に依存している場合は、対応が難しい。しかし、この法律の適用後はノーチェック業務があることは許されなくなる。」
 

リエ
「ということは、上場企業では財務報告に関わるすべて業務について、監査等の内部統制の仕組みが必要になるわけですね。監査役のお仕事が増えるじゃないですか。」

 
小松
「そういうことだね。ついでに監査役報酬も増えればいいけど…。」