取引先の倒産に備えて
   
カテゴリ:法務
作成日:07/01/2002
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


旭課長
「得意先のA社が民事再生法の適用申請をしたよ。」



リエ
「えっ。A社との取引では、まだ受取手形と売掛金が残っていますが、回収はどうなるのですか。」

旭課長
「通常は保全処分により一時財産が凍結されるので、当分回収は不可能になる。しかも、100%の回収はまずあり得ないな。」

リエ
「100%でなくても、回収できるなら、その手続きをしなければなりませんよね。手形があれば、そのまま証拠になりますけど、ない場合はどうするのですか?」

旭課長
「回収するためには、債権の内容を証明することが必要になるから、それを準備することから始めよう。リエちゃんの言うとおり、手形があれば、そのまま証拠になるけど、ない場合には社内で保管している書類で証明することになるんだよ。早速A社の契約書や納品書、請求書を用意しよう。すぐ用意できるかな。」

リエ
「はい。得意先台帳で取引内容がわかりますので、未回収分の納品書と請求書は、販売管理で出力した控えから用意することができます。それから、契約書も以前、お話があった時に整理しましたので、すぐ出せます。」

旭課長
「あと、取引台帳には納品されたものしか載ってないけど、納品していなくても、工場が注文を受けて製品化したものも債権になるから、それも用意しよう。日頃から注文内容は書面で確認することが、こういう時には重要になってくるね。」

リエ
「今回は得意先の倒産ですけど、仕入先・外注先の倒産の場合は、どのようにすれば良いのですか?」

旭課長
「仕入先・外注先が倒産した場合、買掛金などの債務が残るから、この場合、余分な請求をされないよう債務の内容を証明できるようにしておくことが必要だね。そのためには、支払った証明としての領収書や銀行の振込明細はもちろん、債務の内容を示す納品書・請求書もきちんと保管し、支払済みのものと未払いのもを明確にしておくことが必要なんだ。」

リエ
「倒産したら、支払先も変わりますよね。」


旭課長
「民事再生法や破産などの法的な手続きをしていれば、裁判所の指示で支払うことになるけど、夜逃げや任意整理など、裁判所が入らない場合は、勝手に債権譲渡をしている場合などがあり、二重に請求されないようよく確認した上で支払うことが重要だね。その時は弁護士先生に相談しよう。」