債権譲渡の優先順位
   
カテゴリ:法務
作成日:10/09/2001
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 リエちゃんが電話の対応についてなにやら困っているようです。どうも税務署からのようです。旭課長が電話を変わります。

税務署員
「恐れ入ります。私は、〇〇〇税務署の管理部門の佐藤と申します。お電話差し上げたのは、仕入先の◎◎◎商店の買掛金の件です。じつは、◎◎◎商店は当税務署に消費税を滞納しているのです。そこで、当税務署が、消費税の督促をしたら、◎◎◎商店は御社に債権を持っているというわけです。そこで、その債権を◎◎◎商店から譲渡してもらったので、買掛金を当税務署に払って下さい。」

旭課長
「ちょっと、待って下さい。まず、◎◎◎商店が本当に税務署に債権を譲渡したのかどうか……。つまり、本当に債権譲渡がされたのかどうか、その事実がはっきりしないじゃあありませんか。債権譲渡契約書を確認させていただかなければ、お支払いするわけにはいきません。第一、お電話ではあなたが本当に税務署の方なのかはっきりしない。」

税務署員
「もっともなお話です。近いうちに、お電話を差し上げた上で、お伺いさせていただきます。よろしくお願いします。」

リエ
「ああ、びっくりした。今度は税務署ですもの。昨日は、金融会社から電話があったんですよね。」


旭課長
「うん、◎◎◎商店は、相当困っていたらしいね。おそらく、債権者は他にもたくさんいるんだろう。当社に対する債権をあちこちに譲ると言っている可能性があるね。」



リエ
「困っちゃう。この場合、税務署と金融会社のどちらに払えばいいんですか。税務署も金融会社も怖いし、両方から払えと言われたらどうしよう。」

旭課長
「債権譲渡契約が有効になるためには、債務者、つまり我が社の承諾が必要なんだ。もちろん書面でね。2社に払う意思を示さなければ、2社から追求されることはない。でも、税務署と金融会社と話をさせて決まった方に払うというのがいいんだろうね。」

リエ
「なんだか、お嫁さんを奪い合う2人の恋人みたいね。お嫁さんの意思が重要なのね。」

旭課長
「うーん、たとえがすごいね。」