遺言書作成は、後の相続争いを回避するために有効な手段
   
カテゴリ:法務
作成日:12/03/2013
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「黒田さん、こんにちは。黒田さんって相続の実務に関わることって多いのですか?」

黒田
「どうしたのですか? リエちゃん。浮かない顔をしていますが。」




リエ
「えぇ。実は、友人のお父様が先日亡くなられて。そのうえ、ご兄弟でなかなか財産分けが決まらずとても悩んでいる様子でしたので。」
 

黒田
「はい。相続の案件は伊豆野先生と一緒に何度も関わらせて頂いています。特にここ最近は多く関わっていますね。相続を“争続”とも言う人がいるくらいトラブルが絶えないことは確かです。」

リエ
「相続で争いがおきないように、何か有効な手立てはないのでしょうか?」

黒田
「ご友人はお気の毒でしたけど、そうならないように生前に遺言書を作成される方は多いですよ。」

リエ
「遺言書って良く聞きますけど、作らない場合に比べて何が違うんでしょうか?」


黒田
「遺言がない場合は、通常相続人間での遺産分割協議によって、財産が分割されます。つまり相続人全員の話合いによって財産を分けることになるんです。」


 

リエ
「話合いってことは、まとまらないこともあるんですね。」

黒田
「えぇ。遺産分割協議がまとまらないことは実は良くあることなんです。その場合には、裁判所の関与のもとで話合いが続けられますが、こじれにこじれてしまった場合には、通常裁判官から法定相続分通り分割するよう決定をうけることになります。」

リエ
「そうなってしまったら、親族関係はもうもとにもどりませんね。遺言書を作成している場合はどうなのでしょうか?」

黒田
「遺言がある場合はもちろん故人の遺志が尊重され、遺言どおりに財産分けが行われます。(※1)また、相続人以外へ相続させることも可能です。ただし、遺言の形式が法律にのっとって正式に成立していることが前提ですけれどね。」

リエ
「法的に有効な遺言書を残すために何かいい方法はありますか?」

黒田
「遺言書にはいくつか種類(※2)がありますが、法的に有効な遺言書を残すためにおすすめなのは、公正証書遺言ですね。公正証書遺言は、2人以上の証人と一緒に、公証役場に行き公証人の前で遺言内容を述べ、公証人に作成してもらうという方法なのですが公正証書遺言の原本は、公証人が保管してくれるので紛失や偽造の心配がありません。死後、無効な遺言であると言われないために安心な方法と言えますよね。」

リエ
「そうなんですか。友人も、お父様が遺言書を作っていればあんなに悩まなくてすんだのに。」



※1

遺言書があったとしても受遺者を含む相続人全員が了解するのであれば、遺言の内容とは異なる遺産分割も可能。
 

※2

遺言書の種類
「公正証書遺言」 偽造・変造・滅失のリスクがない。
「自筆証書遺言」 遺言内容の秘密を保てる一方で偽造・変造・滅失のリスクがある。
「秘密証書遺言」 遺言内容の秘密を保てる一方で滅失のリスクがある。