時効ってなに?
   
カテゴリ:法務
作成日:05/31/2001
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


 昼休みのひととき、旭課長と社長の息子の健さんが雑談しています。どうも、行きつけの飲み屋さんの話みたいです。楽しいお酒は大好きなリエちゃんは、耳をダンボのようにして話に聞き入ります。


健さん
「旭課長、行きつけの居酒屋で、お客さんと打ち合わせをしていたんですが、女将に面白い話を聞いたんですよ。けっこう、つけのお客さんがいるそうですが、なかには踏み倒すお客さんもいるんですって。それで、1年間ほっておくと時効になるから、年末に必ず再請求を出すんだそうです。それが、けっこう多いらしいんですよ。」


旭課長
「それは、消滅時効のことだね。ちょうど、昨日弁護士の赤井先生と、当社の売掛金の話をしていたことと関係があるね。飲み屋さんのつけは、1年で消滅する。つまり、1年たてば、言葉が悪いけど踏み倒すことができるということだ。ちなみに売掛金は2年だけどね。」

リエ
「えー、そんな悪い人がいるんですか。そんなことを考えて飲んでいたら、楽しいお酒もまずくなっちゃう。」

健さん
「あれ、リエちゃん、聞いていたんだ。そう言えば、居酒屋の女将さんも1年たたないうちに、再請求をすると言っていたな。そうすれば、時効はストップして、その再請求をした日から、また1年間は時効にかからないって………。」

旭課長
「いや、それは正確じゃあない。実は、赤井先生から聞いたんだが、再請求しても時効は中断しないそうだ。この場合の請求は、商取引上の請求ではなくて、裁判所に訴え出ることをいうんだ。もし、時効の進行を止めたければ、相手の『確かにつけがあります。』という承認をもらわなければならないんだ。」



リエ
「へー、法律問題って厳密なのね。あ、旭課長、そういえば、うちの会社の決算の時に、取引先に売掛残高確認表という通知を返信封筒を入れて出していますね。もしかして、これ、時効を止めるためですか。」

旭課長
「残高確認は重要な決算業務だけど、時効中断の効果もあるといったところかな。健さん、居酒屋の女将にこれを教えてあげると、つけがきくようになるかもよ。」