債務不履行って何?
   
カテゴリ:法務
作成日:08/20/2013
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「黒田さん、知り合いが、貸していたお金が返済されなかったということで、債務不履行に関する損害賠償も検討しないといけないなみたいな話をしてたんですけど、そもそも債務不履行って何ですか? そのときは分かっているような振りをして聞いていたので……。」


 

黒田
「中々、シビアな話ですね。おそらく、その話は貸したお金が決められた返済期限までに返してもらえなかったという話なんでしょうけれど、簡単に説明するね。」

リエ
「はい、お願いします。」




黒田
「債務不履行というのは、債務者による債務の履行がなされないことをいいます。先程の話を例として、Aさんにお金を借りていたBさんが、お金を返せる状況にあるにもかかわらず、返済期日までにAさんに返済をしなかった場合がこれにあたります。」
 

リエ
「そうなんですね。」

黒田
「具体的にはその内容により、債務不履行は次の区分に分けられます。それは、(1)履行遅滞、(2)履行不能、(3)不完全履行の3つです。では、これまた簡単に例を使って説明しますね。」

リエ
「はい。」

(1)履行遅滞
 履行遅滞とは、履行可能なのに履行期までに債務者が履行しないことです。これは先に例示させてもらった通り、金銭消費貸借契約をして返済期限を定めたが、その期限を過ぎても返済がされなかったというような場合等のことです。

(2)履行不能
 履行不能とは、契約成立後に債務者の責めに帰すべき事由により履行が不能となってしまった場合です。(客観的にみて履行が不可能な状態)例えば、建物の売買契約をしていた場合に売主の火の不始末で火事になり建物自体が消失してしまった場合です。これは物理的に引き渡すことが不可能となりますので、この履行不能にあたります。

※ 上記の例では、買主は建物を買うことにより売主へ代金を支払う義務(債務)を負いますし、売主は買主へ建物を引き渡す義務(債務)があり、双方に債務がある契約形態ですが、この例では売主側の責任(売主の火の不始末)で履行不能になった場合を想定しています。

(3)不完全履行
 不完全履行とは、履行が形式的には行われたが、それが不完全な履行であった場合です。例えば、100個の商品を注文して実際届いたうちの10個が破損していて場合、本来の目的に対して不完全な状況になりますので、不完全履行ということになります。


黒田
「このほかにもそれぞれに該当するための要件が規定されているんだけど、今日は債務不履行のイメージを掴むということでこれくらいの説明にしておきますね。」

リエ
「黒田さん、何となくイメージできました。」

黒田
「それは良かった。もし上記の債務不履行に該当すれば、契約の解除や損害賠償請求等をされることもありますので、債務の履行については注意して行わないといけないですね。」

リエ
「契約などの法律行為は日常的に行われているから、今日の債務不履行の話も身近な問題なんですね。聞いといて良かったです。黒田さん、いつも有り難うございます。」