得意先から支払条件変更の通知が届いた…
   
カテゴリ:法務
作成日:12/01/2009
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


旭課長
「黒田さん、先日得意先から支払条件変更の通知が送られてきたんですよ。」

黒田
「得意先様からの支払条件変更通知といいますと、今の時期だと決済日や手形支払サイトを延長します、という通知ですか。」

旭課長
「その通りです、代金決済日は末締めの翌月末払いで変更はありませんが、手形の支払サイトを120日から150日に変更する、という内容でした。」
 


リエ
「得意先さんから言われてしまうと黙って従うしかないので、辛いですよね。」
 
黒田
「そうですね、この経済状況ですとそういう話はたくさん伺いますし、現実的には先方の希望通りにするしかないんですが、一応規制はあるんですよ。」

リエ
「そうなんですか、どんな規制ですか?」

黒田
「私もあまり詳しくはありませんが、下請代金支払遅延等防止法といいまして、立場の強い発注者がそれを利用して下請業者を苦しめることを抑制するためにあります。」

リエ
「じゃあその法律を理由に支払条件の変更を拒否することができるんですか?」

黒田
「必ずしもできるというわけではなくて、いくつかの条件に該当すればということになりますね。例えば御社の業種ですと資本金が3億円を超える法人事業者が御社に仕事を発注したときに、御社が下請業者となります。つまり、得意先の資本金が3億円以下である場合には、この法律の適用はありません。」

旭課長
「今回の得意先の資本金は確か5千万円ですよ。」

黒田
「となるとこの法律の適用はありませんね。この法律では下請業者への代金決済は原則として納品から60日以内、手形を振り出す場合にはその手形の支払サイトは原則120日以内となっていますので、適用があれば手形の支払サイトが違反している、ということになるんですが……。」

リエ
「何だ、やっぱりだめか。」

旭課長
「いやいや、例え適用があったとしても得意先にはなかなか言えないよ。」

リエ
「それもそうですね。」

黒田
「ただ、気を付けないといけないのは御社が仕事を発注する場合に、この法律が適用される場合がある、ということです。御社の資本金は1千万円超3億円未満ですから、資本金が1千万円以下の法人若しくは個人事業者に外注した場合には、その外注先が下請業者になって、この法律の適用があります。」
 

旭課長
「なるほど、そういう外注さんに対しては代金の決済期間や手形の支払サイトに気を付けなければならない、ということですね。」

 
黒田
「その通りです。代金の支払期間以外にも発注内容等を記載した書面の交付義務、買いたたきの禁止など義務や禁止事項がいくつかありますので、一度きちんと確認された方が良いでしょうね。」

リエ
「当社は外注さんに無理なことを要求したりはしていませんよね。」

旭課長
「そうだね、でも万が一ということもあるから一通り確認してみよう。」

リエ
「はい、分かりました。」