会社が負担する役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金
   
カテゴリ:法務
作成日:04/12/2005
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  


リエ
「黒田さん!大変なことが先週あったのよ。」

黒田
「え、何があったのですか?」

リエ
「営業一課の須藤さんが仕事中に車でバイクと接触し、バイクに乗っている方に重傷を負わせてしまったの。」

黒田
「被害者の方の容態はかなり酷いのですか?」

リエ
「足の骨折と右肩の打撲で全治2ヵ月だそうです。それで当社は、被害者の方に治療費と慰謝料を支払うことになるのですが、この金額を支払った場合須藤さんに対しての現物給与として課税対象になりますか。」

黒田
「その損害賠償金などの基因となった行為が会社の業務の遂行に関連するものであり、かつ行為者の故意または重過失に基づかないものである場合には、経済的利益はないものとされますので、今回のケースでは課税しなくても差し支えないということになります。」

リエ
「これが勤務時間外に会社の車を運転して起こした事故である場合は現物給与として課税することになるのですか。」

黒田
「原則として給与として課税することになります。ただし、その負担した金額のうちにその行為者の支払能力などからみてその者に負担させることができないためやむを得ず会社が負担したと認められる部分の金額がある場合には、その部分の金額については、経済的利益はないものとされます。」
 


リエ
「会社が行為者の支払能力などからみて負担することができないと道義的に判断した場合ですね。もし示談がうまくいかず弁護士を立てて話し合った場合の弁護士費用については、どのような扱いになるのですか?」
 
黒田
「損害賠償金とは、慰謝料、示談など他人に与えた損害を補てんするために支出するすべてのものやこれらに関連する弁護士の報酬等の費用を含むことをいいますので、損害賠償金として扱います。」

リエ
「役員や従業員がこのような事故を起こした場合は、会社としては大変なのですね。」

黒田
「御社は万一の場合の企業防衛として、自動車保険(対人・対物賠償保険)に加入していますので保険会社が対処してくれます。安心して下さい。」

リエ
「そうか。保険はこういう場合に役に立つのね。」