就職支度金の税務上の取扱いは
   
カテゴリ:税務
作成日:10/19/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「黒田さん、ちょっと聞いてもいいですか?」





黒田
「はい、何かありましたか?」


リエ
「私の友達が今度転職するんですよ。それで、その転職先から就職支度金として100万円もらえるそうなんです。」

黒田
「支度金を支給してくれるなんて、リエちゃんの友達は優秀な方なんですね。」

リエ
「そうなんですよ~、彼女はとても仕事ができる人なんです。ただ、税金のことは全然わからないみたいで、『この就職支度金って所得税は課税されるの? 課税されるとしたら何所得になるの?』って質問を受けたんです。」

黒田
「支度金は雇用契約を前提として支給されるものなので、所得税基本通達35-1により給与所得ではなく雑所得となります。さらに1回に支払われる金額が100万円までは支払額の10.21%、100万円を超える場合はその超える部分の金額については20.42%を支払者が支払いの都度、源泉徴収する必要があります。」

リエ
「なるほど、雇用前に支給されているので給与所得ではなくて、雑所得になるんですね。」

黒田
「ちなみにその支度金ですが、今回の転職に際し、転居のための費用も含まれて支払うということであれば、契約金に相当する部分と転居に伴う費用に充てるための部分とが明確に区分して支払われ、かつ、その転居のための費用として通常必要と認められる部分の金額については非課税として取り扱われます。(※所得税法第9条第1項第4号、所得税基本通達204-30)引越費用や引越先までの交通費は通常必要であると認められますが、借家にかかる権利金や仲介手数料は通常必要と認められる範囲に含まれませんので注意してください。支払調書をいただいたら、支払金額や源泉徴収税額を確認してくださいね。」

リエ
「友達は今回の転職で大阪から東京に引越しをするので、転居費用が含まれているかもしれません。友達に教えてあげますね~。」