裁判員報酬の確定申告
   
カテゴリ:税務
作成日:03/28/2017
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





リエ
「黒田さん、ちょっとご相談したいことがあるのですが…。」


黒田
「はい、どのようなことでしょうか。」



リエ
「実は…昨年、有給休暇を利用して裁判員として裁判に参加したのですが、その際に報酬なるものを受け取りました。この収入は、確定申告が必要なのでしょうか。」

黒田
「裁判員等に選任されると1日当たり1万円以内で日当が支払われますね。国税庁HPにも『裁判員等に支給される旅費、日当及び宿泊料に対する所得税法上の取扱いについて(照会)』にて日当の取扱いについて回答しています。ここに受け取った報酬は、労務の提供対価ではなく、実費弁償対価と考えられることから雑所得として取り扱うと回答されています。」

リエ
「有給休暇を取得して参加しましたが、何か問題はありますでしょうか。」

黒田
「問題ありませんよ。裁判員の職務は、『公の職務』になりますので、副業に該当するものではありませんし、就業規則に違反するとも言えません。また、日当が支給されるからといって、給与額から日当分を減額することも認められていません。」

リエ
「裁判へ参加する負担や損害に対する補償と考えれば良いのですね。」

黒田
「昨年は、給与所得以外に他の所得はありましたか。」

リエ
「いえ、その他に給与以外は何もありませんし、ふるさと納税等もしていませんので年末調整で完結しています。」

黒田
「それであれば、所得税の確定申告は必要ありませんよ。」

リエ
「あっ、所得税のということは…。」

黒田
「給与所得及び退職所得以外の所得が20万円以下である場合には、所得税の申告は不要とされています。ですが、残念ながら住民税には申告不要制度はありませんので、住民税の申告が必要となります。」

リエ
「所得税の申告は不要であっても住民税の申告はしなければならない、ということを皆さんあまり意識されていない気がします。所得税の申告が不要となれば、住民税は申告されていない方も多いのではないでしょうかね。」