タワーマンションの課税見直し
   
カテゴリ:税務
作成日:01/24/2017
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「こんにちは黒田さん。この前喫茶店で気になる話を耳にしたのですが、質問してもいいですか。」






黒田
「リエちゃんこんにちは。どんな話かな?」

リエ
「近くの席の奥様方が話していたのですが、なんでも、タワーマンションへの課税方式が変わるから、買うなら今のうちよ! というような話でした。」

黒田
「なるほど、たぶんタワーマンション(※1)に課される固定資産税と不動産取得税の見直しについての話だね。」

リエ
「そうなんですね。固定資産税は印字済みの納付書が届くので、計算方法についてはあまり気にしていなかったです。どんな見直しなんですか。」

黒田
「まだ平成29年度の税制改正大綱の中で公表されているだけなので、確定ではないけれど、売買するときなどに高層階のほうが高値で取引されていることが多いから、固定資産税もそれに合わせた按分をしよう、というものだよ。建物全体への課税額はそのままで、低層階では減額、高層階では増額となるイメージだね。按分の仕方についても規定されている(※2)けれど、区分所有者全員で申し出れば、申し出通りの按分比率にできる、ということになっているんだ。」

リエ
「今までは取引価格がどれだけ違っていても、固定資産税額は同じだったんですね。」

黒田
「そうだよ。マンションなどの共同住宅の固定資産税は、建物全体を評価し、それを総床面積に対する占有床面積で按分する計算になっているから、階数は考慮しないんだ。でも取引価額に関しては、眺望などの観点で高層階の方が高額になっているよね。」

リエ
「確かにタワーマンションの高層階というと、お金持ちが住んでいるイメージが強いですね。見直しが適用されてから高層階を購入すると、固定資産税を多く納めることになるから、買うなら今よ! になるわけですか。」

黒田
「そういうことだろうね。この見直しは平成30年度から新たに課税されるタワーマンションで適用開始されるということだけど、平成29年4月1月前までに売買契約が締結された住戸を含むタワーマンションは、見直し前の方法で計算されることになるんだ。ちなみに、不動産取得税も同様の補正が加わるけれど、不動産取得税は取得時に一度だけなので、固定資産税ほど影響は大きくないかな。」

リエ
「それってあと数ヵ月じゃないですか、私も早く物件を探さなきゃ! なんて言ってみたいものですね。」

黒田
「住めば都というし、タワーマンションの高層階にこだわらなくてもいいんじゃないかな。」

※1
高さが60mを超える建築物のうち、複数階に住居が所在しているもの。

※2
1階を100とし、階が1増すごとに、これに10を39で除した数を加えた数値を、階層別占有床面積補正率として、按分に用いる。