法人が義援金を支払った場合の取扱い
   
カテゴリ:税務
作成日:05/17/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





田中社長
「黒田さん、ちょっと質問してもいいかな?」

黒田
「はい、社長。何かありましたか?」



田中社長
「今回の熊本の地震で被害を受けた方の支援をしたいので、義援金を送りたいと考えているのだけど、法人で義援金を支払った場合、税務上どのように取り扱われるのかな?」

黒田
「義援金は、税務上『寄附金』になります。国や地方公共団体に支払った義援金は、【国等に対する寄附金】に該当し、義援金の全額が損金算入となります(法人税法第37条第3項第1号)。日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座へ直接寄附した義援金も【国等に対する寄附金】に該当しますので、全額損金算入となります。ただし、日本赤十字社に支払った寄附金であっても、国、地方公共団体に拠出されるものでないもの、例えば日本赤十字社の事業資金となるようなものにつきましては、「特定公益増進法人に対する寄附金」に該当するため、特別損金算入限度額(法人税法施行令第77条の2)の範囲内での損金算入となります。」

田中社長
「救援活動を行っているNPO法人に義援金を支払った場合はどうなるのかな?」

黒田
「救援活動を行っている認定NPO法人や公益社団法人、公益財団法人等に対して支払った義援金は『特定公益増進法人に対する寄附金』や『一般の寄附金』となる場合があり、全額損金算入できるとは限りません。ただし、募金団体が募集する義援金で、最終的に国、地方公共団体へ拠出されるものであることが税務署で確認された場合、例えば義援金を熊本共同募金会の義援金受付口座に振り込んだ場合は【国等に対する寄附金】となりますので、全額損金算入できます。」




リエ
「義援金の支払先によって税務上の取扱いが異なるのですね。」

黒田
「そうなんですよ、リエちゃん。あと、義援金を損金算入するには、確定申告書の別表14(2)『寄附金の損金算入に関する明細書』の『指定寄附金等に関する明細』に寄附した義援金等に関する事項を記載して添付しなければなりません。義援金等を支出したことが確認できる書類は必ず保存してください。」

リエ
「社長、いっぱい義援金を送って支援しましょう!! 被災された方々の一日も早い復興を心から願います。」