空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設
   
カテゴリ:税務
作成日:03/29/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「黒田さん、空き家問題を少しでも解消するために、空き家を譲渡した場合に特例が設けられたそうですが、どんな特例なのですか。」





黒田
「この特例は、一定の要件のもと、被相続人の居住の用に供されていた家屋や土地等を相続した相続人が、それらを譲渡した場合に、譲渡益から3000万円を控除することができるというもので、特別控除の特例が創設されたんです。」

リエ
「その特別控除を受けるための一定の要件とは、どのような内容なのですか。」

黒田
「主な要件として、被相続人の居住の用に供されていた家屋及び敷地であること。家屋については、昭和56年5月31日以前に建築された(区分所有建築物を除く)もので、耐震性があること、耐震性がない場合には、耐震リフォームすることが必要となります。また、相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をした者がいないこと及び相続の時から譲渡の時まで空き家であったことなどです。

 土地等については、相続開始の直前において、被相続人の居住用家屋の敷地の用に供されていたこと及び家屋除却後は譲渡の時まで更地であったことなどです。対象者は、相続により今お話しした家屋と土地等を取得した個人です。

 適用期間については、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に行った譲渡で、譲渡期限については、相続の時から相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした譲渡に限ります。譲渡対価の額については、1億円を超えないことです。

 また、この特例の適用には、『被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等が、相続の時から譲渡の時まで空き家(更地)であったこと等』の要件を満たすことを地方公共団体の長等が確認した旨を証する書類等を確定申告書に添付することが必要になります。」

リエ
「相続から譲渡まで引き続き空き家でなければいけないんですね。」

黒田
「そうです。被相続人の居住の用に供さていた家屋・敷地を相続した時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供した場合は、この特例適用を受けることができません。」

リエ
「相続した財産を譲渡するのですから、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日まで譲渡した場合には、相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得を計算することができる特例がありますよね。その特例も使うことは可能なのですか。」

黒田
「その特例については、どちらか有利なほうを選択することになります。」

リエ
「選択適用となるわけですね。この『空き家に係る譲渡所得の特別控除』を使って空き家の発生を抑制でるといいですね。」

黒田
「管理のできない空き家については、地域住民の生活環境への悪影響を及ぼすことから、平成27年5月から空き家対策推進法も施行されていますので、問題解決につながっていくと思いますよ。」