相続対策としての更地貸付の貸付事業用宅地等の特例
   
カテゴリ:税務
作成日:10/27/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





旭課長
「毎日雨続きだと外出するのがおっくうになりますね。」

黒田
「たしかにそうですね。」



旭課長
「黒田さんはこちらには電車で来られたのですか。」

黒田
「いいえ。今日は夕方から大雨になると天気予報で言っていましたので、車できました。」

旭課長
「会社の駐車場には、黒田さんの車は見当たらなかったが、コインパーキングに止めたの。」

黒田
「はい、御社の近くのコインパーキングに止めてあります。」

旭課長
「最近はコインパーキングの数も増えましたね。
コインパーキング運営会社は、遊休地を所有している地主さんから土地を提供してもらい、施工から運営管理までを行い、地主に対しては設定した賃料で借り上げてもらえるので、地主にとっては駐車場の稼働状況や管理を気にする必要がないのが有難いでしょうね。」

黒田
「そのようですね。運営会社も時間貸しのメリットを活かしてその回転率によって収益をあげられますからね。」




リエ
「双方にメリットがあるのですね。」

黒田
「たしかにそういうメリットもありますが、相続税対策という側面もあると思います。」

旭課長
「相続税対策と言いますと。」

黒田
「更地のまま土地をコインパーキング事業者に貸付けをし、相続開始までに借り受けた事業者が行った車止めや精算機などの設備及び敷地全面のアスファルト舗装等が構築物として認められれば、貸主側は貸付事業用宅地として、小規模宅地等の特例を受ける場合があります。」

旭課長
「なるほどね。」

黒田
「更地を貸し付けただけでは、本特例を適用することはできませんが、相続開始までに賃借人が借り受けた更地に建物や構築物を建築すれば、更地の状態で貸し付けた場合でも、その宅地等は建物又は構築物の用に供さているものとして、200平方メートルを限度に貸付事業用宅地等の50%減額評価を適用することができるんです。」

旭課長
「とてもためになるお話を聞きました。実は父の所有している駐車場も空きが目立つようになってきているので、さっそく父にこのことを話してみよう。」

黒田
「小規模宅地等の特例を受けるには他の要件もありますので注意は必要ですが、こういったコインパーキングの場合は、通常の評価から賃借権の価額を控除できる場合もあります。

 控除できる割合は2.5%~10%と高くありませんが、相続を念頭に置かれたうえで、今後の運用を検討されるのであれは、この点も考慮された方がいいと思います。」