領収書でも印紙を貼らなくていい場合がある!?
   
カテゴリ:税務
作成日:12/22/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





リエ
「黒田さん。ちょっと聞いてもいいですか。」

黒田
「はい。何でしょうか。」



リエ
「インターネットで備品を購入したんですが、領収書がWEB上で発行されるものなので印紙が貼られていないんです。証憑書類として保管するためにこの領収書を印刷した場合、印紙を貼らなくても問題ないんでしょうか。」

黒田
「はい。印紙は貼らなくても大丈夫です。」

リエ
「良かった~。領収書を印刷するたびに印紙を貼ってたら余計にお金がかかりますもんね。でも何でなんですか。」

黒田
「そうですね。まず、印紙税の課税文書とは
 1)印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること
 2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
 3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないことの要件すべてを満たすものを言います。

 したがって、一般に売上代金が5万円以上の領収書はこれらの要件をすべて満たすため、課税文書に該当しますが、領収書をWEB形式で発行したり、電子メールにより送付するなど電子的手段により行うものは電子文書とされます。この電子文書は実際に文書が交付されないことから、課税物件が存在せず、印紙税の課税要因が発生しないこととなります。ご質問の領収書は、この電子文書を印刷したもので、コピーした文書と同様のものと認められるため、課税文書に該当しないことから、印紙は不要とされます。」

リエ
「なるほど。確かにWEB形式の領収書を印刷しただけで相手方から交付された現物の領収書ではないですもんね。」

黒田
「はい。ファクシミリによる領収書の送信も同様です。近年はペーパーレス化のため、領収書に限らず、契約書や注文請書などもPDFファイル等の形式で行うことも増えましたから、今後は印紙を貼らないような機会が増えてくるかもしれません。」

リエ
「へ~。知らなかった。」

黒田
「ただこういった電子文書により印紙税の課税を回避することは問題になっており、電子文書と紙の文書との間での課税の公平性も欠いていることから、将来的には電子文書にも課税するような法改正があるかもしれません。」

リエ
「そうなんですね。今日も勉強になりました。ありがとうございました。」

黒田
「いえいえ。また何でも聞いて下さいね。」