平成27年分の確定申告から適用される『財産債務調書』とは?
   
カテゴリ:税務
作成日:08/25/2015
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





リエ
「黒田さん、平成27年分の確定申告から『財産債務調書』の提出が必要という記事を見たんですけど、これってどういった書類ですか。前にも似たような名称の書類があった気がするんですけど。」


黒田
「おっ、リエちゃん。細かいところまでチェックしていますね~。それは平成27年度税制改正で、以前からあった『財産及び債務の明細書』の提出基準等を見直して、新たに一定の基準を満たす方に対して、保有する財産及び債務を記載した『財産債務調書』という書類の提出を義務付ける制度が決まったんです。」



リエ
「名称からして関係があるかなと思っていたんですけど、やっぱり。それで、内容はどう変わるんですか。」

黒田
「それはですね、一定の所得がある者が保有する財産及び債務を記載して提出するという基本的な考え方は同じなんですが、提出対象者の要件の追加や、記載事項の追加等がされているんです。」

リエ
「へぇ~。」

黒田
「具体的には、『財産債務調書』を提出する必要がある方は下記の通りになっています。」


 その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計が2千万円を超え、かつ、次の(1)または(2)に該当する者

(1)

その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上

(2)

その年の12月31日において有する国外転出特例対象財産(※1)の価額の合計額が1億円以上


※1

「国外転出特例対象財産」とは、所得税法第60条の2第1項に規定する有価証券等並びに同条第2項に規定する未決済信用取引等及び同条第3項に規定する未決済デリバティブ取引に係る権利を言います。
 
リエ
「今までの所得2千万円超の要件に追加されたんですね~。」

黒田
「それから、記載事項については、従来の財産の種類、数量及び価額(※2)のほかに、財産の所在、有価証券の銘柄等の記載が必要になります。また、国外にある財産についても記載することになるんだけど、以前、話題にした『国外財産調書』(※3)を別に提出する方は、『財産債務調書』の備考欄に『国外財産調書に記載のとおり』と記載すれば、この分の記載は省略できるんです。」


※2

財産の価額は、その年の12月31日における『時価』が原則。ただし、『見積価額』とすることもできる。

※3

国内の居住者が国外に保有する財産の合計が5千万円を超える場合に、その国外財産の内訳を記載して税務署に提出する明細書。
 
リエ
「同じ内容を何度も書くのは大変ですからね。」

黒田
「あと、『国外財産調書』と同様で『財産債務調書』についても提出の有無等によって、所得税または相続税に係る過少申告加算税、無申告加算税に対して加減算の措置が設けられています。」

リエ
「ひゃ~、ちゃんと作成して、期限内の提出を意識しないといけないですね。」

黒田
「そうなんです。ちなみに、リエちゃんが記事で見た通り『財産債務調書』の提出義務は平成27年分の確定申告から適用なので、来年3月の確定申告からスタートですね。ですから、所得が2千万円を超えてくる場合には資産等の状況を改めて確認しておく必要があります。」

リエ
「私には縁遠い話ですけど、人生大当たりするかもしれないですもんね。意識しておきます!」

黒田
「はい、はい。」