中古資産の耐用年数は?
   
カテゴリ:税務
作成日:11/15/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





旭課長
「黒田さん。ちょっと相談があるんですが、いいですか。」

黒田
「はい。何でしょうか。」



旭課長
「営業用車両を購入しようかと思っているんですが、車両を中古で購入した場合には、新車を購入した場合と減価償却の計算は変わったりするんですか。」

黒田
「はい。営業用車両などの資産を中古で購入した場合には、その中古資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、原則として、その中古資産を事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によります。つまり、あと何年使用することができるかを合理的に見積り、見積った年数を耐用年数として、減価償却の計算を行うことになります。」

旭課長
「その使用可能期間はどうやって見積るんでしょうか。」

黒田
「使用可能期間の見積りは、中古資産の使用状況、損耗割合等の具体的な資料を基に算出する方法や技術者等の鑑定を基に見積る方法など合理的な方法によって行います。ただし、使用可能期間を見積ることに困難を伴う場合には、簡便法により算定した耐用年数によることができます。計算方法は次のようになり、算定した耐用年数に1年未満の端数が生じたときは切り捨て、算定した年数が2年未満のときは、耐用年数を2年とします。」

【簡便法】
(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
法定耐用年数×20%
(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

旭課長
「なるほど。使用可能期間を合理的に見積ることはなかなか困難でしょうから、中古資産を購入したときは、簡便法により中古資産の耐用年数を算定することになりそうですね。」

黒田
「はい。実務上、使用可能期間の合理的な見積りは困難を伴うケースが多いため、簡便法を採用することが多いと思われます。ただし、取得した中古資産を事業の用に供するために改良を加えるなど資本的支出を行った場合、その資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50%を超えるときは、簡便法によることができません。」

旭課長
「そうなんですか。その場合の中古資産の耐用年数は、新品の資産を取得した場合と同様、法定耐用年数によったりするんでしょうか。」

黒田
「その資本的支出の金額が再取得価額の50%超の場合は、法定耐用年数によることになります。この再取得価額とは、中古資産と同じ新品のものを取得する場合の価額をいいます。また、その資本的支出が再取得価額の50%以下の場合には、加重平均法という次のような計算式により、耐用年数を算定します。」

【加重平均法】
(取得価額+資本的支出)÷(取得価額÷簡便法による耐用年数+資本的支出÷法定耐用年数)

旭課長
「取得した中古資産に改良などを加えることによって相当額を支払った場合には、注意が必要ってことですね。具体的に購入することが決まったらまた相談させて頂きます。ありがとうございました。」