契約者貸付金のある満金保険金の課税関係
   
カテゴリ:税務
作成日:02/28/2017
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





亀井工場長
「黒田さん、相談があるのですが。いまいいですか。」


黒田
「はい、どんなことでしょうか。」



亀井工場長
「契約者貸付制度を利用している生命保険が満期になり、保険金を受け取ったのですが、貸付を受けた金額と利息が差し引かれていました。この場合の一時所得の計算方法を教えてほしいのですが。」

黒田
「分かりました。では、保険契約の形態を教えてくれますか。」

亀井工場長
「契約者と受取人は僕で、被保険者は妻になっています。」

黒田
「この場合は、保険契約者と満期保険金の受取人が亀井工場長になっていますので、受け取った金額と差し引かれた契約者貸付金等の合計が一時所得の対象となります。この場合の一時所得の計算方法は、
収入金額(実際に受け取った金額+貸付を受けた金額+差し引かれた利息)- 必要経費(支払った保険料)- 特別控除50万円=一時所得
の金額になります。特別控除は、一時所得全体に対する控除額となります。
 そして、算出した一時所得の金額に2分の1を乗じた金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して課税所得金額を求めた後、納める税額を計算します。」

亀井工場長
「私は、てっきり貸付金等を控除した後の金額を一時所得として計算するものだと思っていました。仮に保険金の受取人を私以外の人にした場合の課税関係はどのようになるのですか。」

黒田
「その場合は、保険契約者と満期保険金との受取人が異なりますので、保険契約者は、契約者貸付金等の額を収入金額として一時所得を計算します。満期保険金受取人は、契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金に対して贈与税が課せられます。」

亀井工場長
「なるほど、契約者の私が貸付けを受けているので、その部分の金額ついては私の一時所得になるのか。そして残りの保険金は、私が保険金受取人に対して贈与したことになるわけですね。」

黒田
「そうです。ただ受取った保険金が、基礎控除額110万円以内であれば、贈与税は課税されません。ところで、何のために契約者貸付制度を利用したのですか。」

亀井工場長
「実は、結婚記念日に妻に海外旅行をプレゼントしたのです。」

黒田
「優しいんですね。」

亀井工場長
「そんなことないですよ。日頃の感謝の気持ちです。休憩中に相談に乗って頂きありがとう。」

黒田
「いつでもご相談ください。」