減価償却制度の見直し
   
カテゴリ:税務
作成日:05/24/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「黒田さん。平成28年度の税制改正で減価償却に関する改正があったかと思うんですが、それについて教えて下さい。」





黒田
「はい。平成28年度税制改正により、平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備及び構築物並びに鉱業用減価償却資産(建物、建物付属設備及び構築物に限る。)の償却方法について、定率法が廃止されました。したがって、建物付属設備及び構築物の償却方法は、定額法のみとなり、鉱業用減価償却資産の償却方法は、定額法又は生産高比例法によることとなります。」

リエ
「なるほど。例えば、所有する建物付属設備や構築物に対して大規模な改修工事等を行い、資産に計上しなければならない支出があった場合はどうなるんですか。」

黒田
「資本的支出ですね。原則として、資本的支出を行った場合には、既存の減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして、減価償却を行います。したがって、定率法や旧定率法を適用する建物付属設備や構築物に対して、平成28年4月1日以後に行われる資本的支出については、定額法を適用することとなります。」

リエ
「そうなんですね。例外的な取扱いはあるんでしょうか。」

黒田
「はい。平成28年4月1日以後に行われる資本的支出が、旧定率法又は旧定額法が適用される平成19年3月31日以前に取得した建物付属設備又は構築物に対するものである場合には、特例として、当該建物付属設備又は構築物の取得価額に資本的支出の金額を加算して減価償却を行うことができます。」

リエ
「平成19年4月1日以後に取得した建物付属設備又は構築物に対する資本的支出はどうなるんですか。」

黒田
「原則的取扱いとなり、定額法のみ適用されます。法人税法施行令55条4項に規定する平成24年4月1日以後に取得した既存の減価償却資産に対して資本的支出を行った場合の特例や同条5項に規定する平成19年4月1日以後に同一の事業年度内に複数の資本的支出を行った場合の特例がありますが、いずれも既存の減価償却資産と資本的支出の両方に定率法を採用していることが要件となります。したがって、定額法しか適用できない平成28年4月1日以後の建物付属設備及び構築物に対する資本的支出については、これらの特例は適用できません。」

リエ
「建物付属設備及び構築物に対する資本的支出は、基本的に定額法のみ適用で、平成19年3月31日以前取得の建物付属設備及び構築物に対する資本的支出の場合には、既存の建物付属設備及び構築物の取得価額に加算して、旧定率法又は旧定額法による減価償却を行うことができるということですね。」

黒田
「その通りです。」

リエ
「わかりました。今後、建物付属設備及び構築物に対する資本的支出を行う場合には、相談させて頂きます。ありがとうございました。」