公的年金って確定申告が必要ですか?
   
カテゴリ:税務
作成日:02/16/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  



リエ
「黒田さん、こんにちは。いつの間にかもう確定申告の時期ですね。」





黒田
「こんにちは。1年は本当に早いものです。おかげさまで今年も忙しくなりそうですよ。」

リエ
「確定申告に関わることで一つ気になることがあります。お聞きしても良いでしょうか?」

黒田
「えぇ。もちろんです。」

リエ
「私の祖母の話なのですが、祖母は昨年から年金を受給するようになりました。確定申告についてはどう考えれば良いのでしょうか? 祖母は、年金から所得税が引かれているので確定申告をしなくても良いと思っているようなのですが。」

黒田
「確かに公的年金からは、原則的に収入金額から一定の控除額を差し引いた額に5.105%を乗じた金額が源泉徴収されています。

 しかし、それをもって確定申告が不要となるわけではありません。公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと残額がある方は、原則として確定申告で税額を精算する必要があります。」

リエ
「そうなのですか。では公的年金に係る所得控除を計算して確定申告が必要か否か調べる必要があるということでしょうか。」

黒田
「原則はそうなります。しかし、平成23年分以後の公的年金については、年金を受給されている方の負担を減らすために、一定の方は確定申告が不要となる制度が設けられています。これを年金受給者の確定申告不要制度といいます。」

リエ
「具体的にはどのような方が対象なのでしょうか?」

黒田
「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である方が対象になります。」

リエ
「祖母は400万円も年金を受給していないでしょうし、他に所得があるわけでもないでしょうから確定申告が不要になりそうです。」

黒田
「ただ所得税の還付を受ける方はもちろん確定申告が必要ですし、市区町村に住民税の申告が必要※な方も、確定申告か住民税の申告が必要になるので注意してくださいね。」

リエ
「黒田さん、ありがとうございました。」

※市区町村に住民税の申告が必要な方
1.公的年金などに係る雑所得のみがある方で、「公的年金などの源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等)以外の各種控除(生命保険料控除や損害保険料控除、医療費控除など)の適用を受ける場合
2.公的年金などにかかる雑所得以外の所得がある場合