多世代同居に対応した住宅リフォームを行った場合の特例
   
カテゴリ:税務
作成日:04/12/2016
提供元:アサヒ・ビジネスセンター
  





旭課長
「黒田さん、ちょっと聞いてもいいですか?」

黒田
「はい。なんでしょう?」



旭課長
「平成28年度の税制改正で多世代同居に対応したリフォーム工事を行った場合の特例が創設されたそうですが、どのような内容ですか?」






「どのくらい控除されるのですか?」


旭課長
「いや、まだハッキリと決まった訳ではないんだけど、孫も産まれたことだし一緒に住んだ方が何かと都合がいいんじゃないかなと考えているんだよ。」


「フフフ。つまりは旭課長の願望ですね。」

旭課長
「まあ、今のところはそういうことだね………。」

黒田
「この制度は、出産・子育ての不安や負担を世代間で助け合い、安心して子供を育てられる環境整備の手段として、三世代など多世代同居を促進する目的で創設されました。平成28年4月1日から平成31年6月30日の間に居住の用に供する多世代同居改修工事等を住宅ローンで行った場合、一定額が税額控除されます。」

旭課長
「多世代同居改修工事等とは具体的にはどういう工事ですか?」

黒田
「調理室、浴室、便所又は玄関のいずれかを増設する工事で、その工事費用の合計額が50万円を超える工事をいいます。ただし、補助金の交付がある場合は補助金控除後の金額で判断します。また、改修後には調理室、浴室、便所又は玄関のいずれか2つ以上が複数となる必要があります。」

リエ
「どのくらい控除されるのですか?」

黒田
「年末ローン残高に控除率を掛けて計算します。ローンの償還期間が最低5年以上のものが対象となり、控除期間は5年間です。1年で最大12万5千円の控除ですので、5年間で最大62万5千円が控除されます。」

控除額=ローン残高×控除率
ローン残高控除期間控除率
1)増改築工事全体~1,000万円5年1%
2)1)のうち三世代同居改修工事~250万円5年2%

旭課長
「省エネ改修工事やバリアフリー改修工事の住宅ローン控除に似ていますね。」

黒田
「はい。同様の仕組みですね。他の住宅ローン控除とは選択適用になり、2以上の増改築等をした場合の控除額の計算の調整措置等が予定されています。また、申告にあたっては一定の機関が発行する多世代同居改修工事等の証明書を添付する必要があります。」

旭課長
「やっぱり借入金がないとダメなんですかね。実は自己資金でリフォームしようかと考えていたのですが。」

黒田
「いえいえ。自己資金で多世代同居改修工事を行った場合も税額控除が可能です。一定の多世代同居改修工事の標準的な工事費用相当額(最大250万円)の10%相当額がその年分の所得税額から控除されます。(最大控除額25万円)」

リエ
「標準的な工事費用相当額とは何ですか?」

黒田
「改修部位ごとに単位当たりの標準的な工事費用の額として定められた金額に当該改修工事を行った箇所数を乗じた金額です。」

旭課長
「これなら適用できそうですね。」

黒田
「以下の場合は、この税額控除が適用できませんので注意して下さいね。」
 1)その年の前年以前3年内の各年分において本税額控除の適用を受けている。
 2)その年分の合計所得金額が3000万円を超えている。
 3)住宅借入金を有する場合の所得税額の特別控除又は特定の増改築等に係る住宅借入金を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の適用を受ける場合。